きょうは競泳の大橋悠依選手が個人メドレーに登場する日…、陸上の桐生祥秀選手がリレーに挑む日…。今年の夏は、実施される予定だった東京五輪の日程をうらめしく見て過ごした。9日で閉幕し、大団円となるはずだった▼その大会が1年延期となり、数年をかけ選手を追ってきた記者たちのゴールも延びた。組織委ら担当者も多忙を極める。だが、最も影響を受けるのは選手たちに他ならない▼五輪は生身の人間が極限で争う競技会、一般的なイベントの先送りとは意味が違う。競技力のピークが続くとは限らず、モチベーションの維持も容易ではない▼開催可否を巡る動きを「感情移入しないように、人ごとのように見ていた」と本紙記者に語ったのは男子20キロ競歩の山西利和選手。世界選手権で優勝した実績のある彼でさえ、揺れる気持ちを抑え冷静さを保つよう努めたのだろう▼7月の共同通信世論調査では「来年夏に開催すべき」は23・9%にとどまった。世論の後押しもないまま、開催すら不透明な目標に向かって努力を続けていく。逆風の今こそ、アスリート個人の強さが問われる▼「4年に1度」という大原則は崩れた。大会規模が縮小され、多くの制限を受けようとも選手が競い合う機会だけは実現させてほしい。今は、そう願うばかりだ。