不法滞在などを理由に入管施設が外国人を長期間収容している問題について、法相の私的懇談会の専門部会が提言した。

 国外退去を命じられたのに出国を拒んだり、一時的に収容を解く「仮放免」中に行方不明になったりした外国人に、懲役や罰金などの刑事罰を科すといった内容だ。

 国外退去を命じられた外国人のほとんどは帰国している。一部の人が帰国を拒むのには「帰国すれば迫害を受ける」「日本に家族がいる」など、さまざまな事情がある。ほぼ完全に日本に根付いている人もいる。

 こうした人たちに刑事罰を与え刑務所に収監しても、刑期が終われば入管に収容されることになる。効果があるとは思えない。むしろ長期の身柄拘束など人権上の問題を含み、国際社会からの批判も強まりかねない。

 とりわけ重大なのは、難民申請中の人を強制送還できるようにするという内容だ。

 出入国在留管理庁は、難民認定の申請手続き中は送還できない規定が不法滞在と長期収容につながっている、と説明する。

 提言はこの説明を踏まえ、新たな事情がないのに申請をくり返した人は送還できる制度の検討を促した。

 だが、これも現実的な対応とは思えない。日本も批准している難民条約では、難民の可能性がある人は送還できない。

 日本では1回目の申請で難民認定を受ける例はほとんどない。日弁連の調査では難民認定の約2割、人道配慮のための特別在留許可の約4割が強制退去命令の後に出されている。入管施設にいながら2度、3度と申請をくり返す例がほとんどだ。

 今年3月、ミャンマー国籍の女性が東京地裁で難民と認められる判決を受けた。

 女性はミャンマー政府が抑圧する少数民族の出身。現地で民族独立運動への弾圧が強まり、運動に関係したとされる家族が軍の暴行で死亡するなどした。

 日本で難民申請したが不認定とされ、取り消し訴訟を提起。「帰国すれば自身にも迫害が及ぶ」と訴え、2回目の裁判でようやく認められた。

 日本の難民認定率の低さは0・5%と先進国中でも際立つが、審査の厳格さの理由を国際機関などに説明できていない。ミャンマーの女性も、訴えは変わらないのに、認定までに時間を要した。こうした実態の改善こそ必要ではないか。

 長期収容の背景には、在留特別許可件数がかつてのほぼ半分へと、大きく減っていることもある。

 バブル期に短期滞在ビザで入国して就労し仕事を続け、家族も持ち、地域に溶け込んできた-。政府は、以前は認めていたこうした人たちの在留許可を取り消す一方で、昨年から外国人労働者の受け入れを本格化している。政策が矛盾していないか。

 提言を踏まえると、不法滞在状態の外国人の生活を支援するNGOや弁護士活動も送還拒否の「共犯」とされかねない。人権活動が処罰されるような規則が必要なのか、疑問だ。