衛星利用測位システム(GPS)を用いたストーカー事件が、相次いでいるという。

 中には、相手の自動車に無断でGPS機器を取り付け、居場所を探る者もいる。

 これが、ストーカー規制法の禁じる「見張り」に当たるかどうかが争われた二つの事件の上告審判決で最高裁は先月、該当しないとの初判断を示した。

 類似の行為が野放しになってしまうのではないか、と心配する人もいよう。

 二つの事件では、それぞれの被告が、当時の妻や元交際相手の車にGPSを用いていた。

 規制法では、機器を使う場合でも、住居の付近といった一定の場所で、相手の動静を観察する行為を、見張りとしている。具体的な手法に関する記述はない。

 ところが、被告はいずれも、離れた場所から車の位置情報を把握していた。このため最高裁は、見張りの要件を満たさない、と結論付けた。

 法に規定されていない処罰は科さない「罪刑法定主義」に基づいて判断した、といえる。法の拡大解釈を許さないという点では、妥当なものだ。

 しかし、法が想定していなかったような事態が次々と起き、人に被害を及ぼしているとしたら、どう向き合えばよいのだろう。

 2000年に規制法が施行された際には、あまりみられなかったGPS機器だが、近年は安価に利用できるようになり、広く普及している。

 警察庁によると、GPS機器を使っていて見張りと認定され、規制法違反容疑で摘発されたケースは、全国でこれまでに60件近くもある。

 GPSを用いて動静を把握されて、不安を感じない被害者はいないはずだ。相手の居場所を知ることで、ストーカーが行為をエスカレートさせ、凶悪事件につながる可能性もあろう。

 識者からは、被害者の住居などから離れたところにいても、GPSを使って追跡する行為は、見張りに当たると法に明記すべき、との声が上がっている。

 ストーカー行為の実態に即した規制法の改正を、急ぐときが来たようだ。

 GPSの技術は年々進歩し、カーナビに用いられるなど、人々の暮らしに欠かせないものとなっている。半面、知られたくない位置情報まで他人に利用される恐れもある、と認識しておきたい。