京都産業大の学生の集団感染について記者会見する大城光正学長(右から2人目)ら=3月29日、京都市中京区・市役所

京都産業大の学生の集団感染について記者会見する大城光正学長(右から2人目)ら=3月29日、京都市中京区・市役所

 新型コロナウイルスの感染拡大を巡って、多くの学生が感染し京都の各大学は対応に追われた。学生が感染者集団(クラスター)発生のきっかけとなった京都産業大(京都市北区)は記者会見を実施して積極的に情報を公開したが、結果としてインターネット上などで学生らに対する誹謗(ひぼう)中傷が起こった。不当な非難を抑えつつ、感染者情報をどのように公表すればよいのか。各大学で模索が続いている。

 「今後も行政機関と調整し、感染拡大の恐れがある場合は公表する」。3月下旬にキャンパス外で学生同士のクラスターが起こった京産大は、当時と変わらない方針を維持している。感染拡大の防止や不正確な情報の流布を避けるためだという。


 ただクラスター発生時には、感染した京産大生の帰省先などが自治体によって明らかにされたことで、インターネット上で個人を特定する動きがあった。「大学の公表した内容が、自治体などの明かした情報と組み合わされることで個人の特定につながることは避けたい。どうするべきなのか」と広報担当者は率直に吐露する。


 ほかの大学もさまざまな情報公開の基準を設けている。京都大(左京区)は、症状が出た日の2日前の日以降に感染者が学内に出入りしていれば原則公表し、そうでなければ発表しない。「感染拡大防止と個人情報保護の観点から検討した結果」と説明する。


 京都橘大(山科区)は、6月上旬に新たなガイドラインを作成。キャンパス内で感染が発生した場合は公表する一方で、キャンパスの外で学生が感染した場合は原則として公表しない方針を示している。感染拡大防止のために、クラスターなどの発生場所の周知は重要だが、感染者の属性を必要以上に公表することはないという考えからだ。


 日比野英子学長は「学生には感染防御を徹底させる。学生の個人情報を守りつつ、社会的な責任を果たしたい」と説明。一方で「今後、社会の意見に耳を傾けながら必要ならガイドラインを改善していきたい」と話す。


 より積極的に情報発信する方針の大学もある。同志社大(上京区)と立命館大(中京区)は学生の感染が分かった場合、感染場所を問わず公表する。4月には同大で1人、立命大で2人の感染が判明した。各大学のホームページで感染者の年代や感染判明の経緯、キャンパスへの出入りの有無などを掲載。ただ個人情報保護の観点から性別や出身地などは明らかにしない。


 龍谷大(伏見区)は、感染が判明した場合には学内に設置する危機対策本部会議で公表について検討するという。担当者は「どういう情報発信が適切か、事例ごとに考えていきたい」と語る。


 感染者の情報はどこまで公表されるべきなのか。大学の枠を超えた議論が求められる。