新型コロナウイルス感染症のパンデミック(世界的大流行)が、各国に財政悪化の厳しい現実を突き付けている。

 日本や米国、欧州の主要国など経済協力開発機構(OECD)加盟37カ国の2021年の公的債務残高が、19年と比べて少なくとも約12兆ドル(約1270兆円)増大する見通しであることが分かった。

 各国が経済活動の支援策の資金を主に国債など借金で調達しているためだ。債務残高は19年の69兆6千億ドルから21年には81兆6千億ドルと17%増える。

 公的債務の増大は世界経済の足かせとなる。将来的に金融市場の混乱要因になりかねず、新たな金融危機につながる可能性もある。

 危機の芽を摘むためにも、感染症収束後の財政健全化が急務となるのではないか。

 加盟国の公的債務の国内総生産(GDP)に対する比率は19年に109・9%だった。21年は第2波を回避した場合でも128・5%に、第2波が発生した場合は136・5%に急上昇する。

 比率は値が大きいほど財政状況は悪いとされる。欧州連合(EU)は加盟国に対し60%以内に抑えるよう義務付けている。

 世界最悪レベルの借金を抱える日本は、コロナ危機の前から200%を大きく超えている。第2波を回避できた場合でも70兆円弱の債務が増える見通しだ。

 各国政府は大胆な財政出動で景気回復と雇用維持を実現するとしている。日本も2度の補正予算で各種給付金などを盛り込んだ。

 国債増発で財源を確保し、中央銀行の量的緩和に頼った危うい構図と言わざるをえない。

 多くの国は流行が収束すれば、再び歳出抑制や財政赤字の縮小にかじを切るとみられる。だが、公的債務の膨張傾向が一段落するまでは時間がかかりそうだ。

 コロナの感染者は世界全体で2千万人を超え、なお過去最悪ペースで増加が続く。現時点で金融危機は発生していないが、公的債務の高止まりが続けば、財政の健全性に対する市場の疑念は高まる。

 国家財政の破綻など最悪の危機は避けなくてはならない。

 家計や企業を支える対策は必要だが、やみくもに借金を重ねればそれ自体が危機となる。

 高齢化に伴う社会保障費増大が見込まれる日本は、費用対効果などより厳しく政策を見極めてほしい。「不要不急」の支出を見直すなど予算全体の大胆な改革が求められるのではないか。