2019年度に完成した老ノ木雨水貯留管(宇治市小倉町)=同市提供

2019年度に完成した老ノ木雨水貯留管(宇治市小倉町)=同市提供

府南部豪雨の際、地上に整備された施設で雨水を一時的にとどめた伊勢田小のグラウンド(宇治市伊勢田町)=同市提供

府南部豪雨の際、地上に整備された施設で雨水を一時的にとどめた伊勢田小のグラウンド(宇治市伊勢田町)=同市提供

 ゲリラ豪雨による浸水被害が近年多発する中、京都府宇治市は低く平らな土地が広がる宇治川以西の地域で、雨水貯留施設の整備を進めている。地下に貯留槽や管を埋設したり、学校のグラウンドに一時的に雨水をためる施設を設けたりし、2015年度から5年間に6カ所で計約1万5千立方メートルの容量を確保。21年度までに完成予定の2カ所を加えると、対策前に比べて浸水箇所は約4割減となる見通し。

 宇治川以西の西宇治地域は、旧巨椋池を干拓した平地が広がる。雨水を河川に流す排水路は勾配が緩く、短時間に局地的に降る豪雨ではしばしばあふれる。拡幅するにも用地買収などが必要で、整備が進みにくい。そのため、市は11年度に策定した雨水排除計画で、雨水貯留施設の重点整備を掲げた。

 19年度に整備を終えた老ノ木雨水貯留管(小倉町)は、道路地下に直径2・2メートル、長さ400メートルの管を埋設。雨水を河川に流す排水路とつながっており、1500立方メートル貯水できる。降雨のピークが過ぎた段階で、ポンプで排水路に戻す。

 市は他にも、西宇治中と伊勢田小の地下に各4千立方メートル超の貯留槽を18年度に整備。西大久保小や西小倉小などではグラウンド地上部分の周囲を高さ50センチの枠で囲い、排水路に通じる穴を小さくして雨水を一時的にためる施設を設けた。

 12年の府南部豪雨では、市内全域で2千棟を超える床上床下浸水が発生し、宇治川以西の地域でも多くの被害が出た。雨水排除計画に基づく施設整備開始以前、同地域は10年に1度の大雨で110カ所の浸水が想定されていたが、現在整備中の2カ所が完成する21年度には64カ所まで減ると推計している。

 ただ、整備費は地下管で10億円超、地下槽で5億円前後、学校のグラウンドの地上施設で数千万円も掛かり、市雨水対策課は「今後の整備については市の財政状況や国の補助金の動向などを踏まえ、長期的な視野で地道に進めたい」とする。