自由に 豪快に

川端龍子「金閣炎上」 1950年 東京国立近代美術館蔵

 迫力ある日本画で知られる孤高の日本画家川端龍子(りゅうし)(1885~1966年)。京都の名所や、戦時中の体験を基にした作品を公開する特別企画展「堂本印象美術館に川端龍子がやってくる 圧倒的迫力の日本画の世界」が12日、京都市北区の府立堂本印象美術館で始まる。
 龍子は和歌山に生まれ、東京で育った。東京府立第三中(現・都立両国高)を中退して白馬会の研究所で洋画を学んだ後、徳富蘇峰が創刊した国民新聞社に入社して挿絵を担当した。28歳で渡米し、ボストンで見たシャヴァンヌの大作や日本古美術に感銘を受け、日本画へ転向。「健剛なる会場芸術」を掲げて大作志向へとかじを切り、院展を脱退して青龍社を結成した。美術館だけでなく百貨店も巡回する青龍展を続け、伝統にとらわれない豪快な作品を世に問うた。
 本展では、龍子の本画や屏風(びょうぶ)など13点やスケッチを展示する。南禅寺の料亭「瓢亭(ひょうてい)」の茶室を描いた「佳人好在」(25年)は、水をたたえる庭とは対照的な陰影の細やかな室内に、料理が浮かび上がる。炎が赤々と燃え上がる「金閣炎上」(50年)は新聞社を経験した龍子のジャーナリスト的な一面が現れた。時事性の高い画題に日本画が持つ自由さで挑んだ。京都では龍安寺や保津川を描く作品もある。
 代表作の一つ「香炉峰」(39年)は幅7・2メートルの大作。軍の嘱託画家として目の当たりにした中国廬山(ろざん)の絶景を、洋画の影響を感じさせるタッチで表現した。
 戦時中は息子が戦病死し、現在は記念館が建つ東京都大田区の自宅も終戦3日前に爆弾が直撃した。難を逃れたアトリエにこもって完成させた「爆弾散華」(45年)には、菜園で栽培していたカボチャやナスの花に爆弾の閃光(せんこう)が差し込み、飛び散る瞬間が表現されている。
 青龍社の亀井玄兵衛や池田洛中ら京都で活躍した5人の作品や、関連する館蔵の堂本印象作品など計35点が並ぶ。

川端龍子「香炉峰」 1939年 大田区立龍子記念館蔵
【左】川端龍子「佳人好在」 1925年 京都国立近代美術館蔵
【右】川端龍子「爆弾散華」 1945年 大田区立龍子記念館蔵
【左】川端龍子「使徒所行讚」 1926年 大田区立龍子記念館蔵
【右】亀井玄兵衛「阿古屋」 1964年 安井金比羅宮蔵

【会  期】 10月12日(土)~11月24日(日) 月曜休館(10月14日、11月4日は開館、翌日休館)
【開室時間】 午前9時半~午後5時 入館は30分前まで 
【会  場】 京都府立堂本印象美術館(京都市北区平野上柳町)
【主  催】 府、府立堂本印象美術館、京都新聞
【入 場 料】 一般510円(400円)、高校生・大学生400円(320円)、中・小学生200円(160円)※かっこ内は20人以上の団体 65歳以上の方(要証明)、障害者手帳提示の人と付き添い1人まで無料
【講演会】いずれも無料(入館券または65歳以上の証明が必要)で午後2時開始、当日午後1時から美術館ロビーで先着順に整理券を配布。
▽11月4日=「会場芸術-川端龍子がめざしたもの」
 木村拓也氏(大田区立龍子記念館主任学芸員) 
 美術館東隣の学校法人立命館 旧堂本印象邸にて、定員30人
▽11月9日=「龍子も描いた瓢亭」高橋英一氏(瓢亭14代当主) 
 立命館大学衣笠キャンパス存心館にて、定員100人
【ギャラリートーク】10月26日、11月2日 いずれも午後1時半、同館2階展示室
【問い合わせ】府立堂本印象美術館075(463)0007