死亡したALS女性が7年以上、在宅独居に挑んだ賃貸マンション(京都市中京区)

死亡したALS女性が7年以上、在宅独居に挑んだ賃貸マンション(京都市中京区)

 神経難病の筋萎縮性側索硬化症(ALS)の女性に対する嘱託殺人容疑で医師2人が逮捕された事件で、女性はヘルパーの確保に悩む心情を会員制交流サイト(SNS)やブログで打ち明けていた。難病患者の在宅ケアでは熟練した少数のヘルパーが長時間入ることが望ましいが、関係者によると、女性を担当する障害福祉サービス事業所は2018年時点で17カ所に上り、ヘルパーの短時間交代もあるケア態勢だったという。

 在宅の難病患者のケアに携わる福祉関係者は「17事業所は驚くべき多さ。適切なケア方法を多くのヘルパーに伝えるのは大変で、女性にとって精神的にも身体的にも大きな負担だったはず」と指摘する。

 亡くなった京都市中京区の女性=当時(51)=は13年から障害福祉サービス「重度訪問介護」を利用して、1人暮らしをしていた。京都市から24時間派遣されるヘルパーから胃ろうやたん吸引、排せつなどの介助を受けていた。

 女性は生前、ブログに「万年のヘルパー探しはかなりのストレス いつ穴が空くか分からない不安にいつもさいなまれている 人の手を借りないと指1本動かせない自分がみじめでたまらなくなる」(18年6月)と投稿。介助者を確保する苦労をにじませた。

 複数の関係者によると、13年当初は女性を担当したのは3事業所だったが、18年8月時点で17事業所に増えた。1日に4~7事業所のヘルパーが入り、夜間は連続して8時間以上入ったが、日中は2~3時間で入れ替わることもあったという。

 事業所が増えたのは、女性の病状に応じたケアを長時間担うことが難しく、多数で分担せざるを得なかったためとみられる。ALS患者に必要なたん吸引などの医療的ケアは一歩間違えれば患者の死亡につながりかねない。関係者によると「長時間のケアはヘルパーの負担が大きい」として撤退する事業所もあったという。

 また女性は同性ヘルパーの介助を望んでいたが、宿泊や夜間・早朝の長時間勤務が多い重度訪問介護ができる女性ヘルパーは少ないといい、独居から数年後には男性スタッフも入るようになった。親しくなった男性ヘルパーもいたが、ある支援者は「(女性は)男性にトイレ介助をしてもらうのがつらいと話していた」と打ち明ける。

 立命館大の客員研究員でALSの母親のためにヘルパー事業所を立ち上げた川口有美子さんは「全介助で細かな指示が必要となるALS患者にとって、慣れたヘルパーと長時間過ごせる安心感は大きい。頻繁に入れ替わることは負担になったのでは」と話している。