マザーハウスひまわりのパンフレットを手に、悔やむ元入居者の女性(京都市内)=画像の一部を加工しています

マザーハウスひまわりのパンフレットを手に、悔やむ元入居者の女性(京都市内)=画像の一部を加工しています

昨年8月に閉鎖したマザーハウスひまわり。建物は売却され、塀には宿泊施設になることを告げる紙が貼られている(京都市西京区)

昨年8月に閉鎖したマザーハウスひまわり。建物は売却され、塀には宿泊施設になることを告げる紙が貼られている(京都市西京区)

 「ついのすみかと思っていたのに…」。京都市西京区嵐山の有料老人ホーム「マザーハウスひまわり」が昨年8月に閉鎖し、入居者8人の入居一時金など計約3600万円が未返金になっていることがこのほど、分かった。有料老人ホームは自治体への届け出と前払い金の保全措置が義務付けられているが、この老人ホームは未届けのうえ、保全措置も講じていなかった。市は未届けであることを2012年に把握していたが、有効な対策をとっていなかった。運営会社は休止状態で、返金のめどは立っておらず、元入居者らはやりきれない思いを募らせている。

 約1千万円が戻ってきていないという女性(86)は2016年10月に入居した。費用約1800万円は大津市の自宅を売却するなどして工面した。葬儀代の支払いも済ませ、「ここに住み続ければもうお金のことは心配しなくていい」と安堵(あんど)した。

 ところが入居から1年10カ月後、施設の閉鎖を突然告げられ、生活は一転する。転居先のアパートは家賃が5万8千円で、食費もかかる。いずれもマザーハウスひまわりが存続していれば不要だった費用だ。年金とわずかに残る貯金で暮らす日々。「生活保護を受けないといけないかもしれない」と落胆する。

 別の女性(86)は約910万円が未返金になっているという。弟(81)によると、費用約1680万円は長年、女性が会社勤めで働いてためたお金で支払った。閉鎖後は山口県内の親戚宅に身を寄せる。返金を求めて裁判を起こすことも検討しているが、運営会社の社長の返済能力を考えると、望みは薄いと考えている。

 女性は入居時、マザーハウスひまわりが市に未届けの施設だとは思いも及ばなかったという。弟は「未届け施設を選んでしまった姉にも責任があるが、どこにも行くところがない人の思いにつけ込まれた。どんなことがあっても返してほしい」と訴える。