統計不正問題を巡り、政府与党の対応がぐらついている。

 根本匠厚生労働相は2018年1~11月の平均の実質賃金の伸び率がマイナスになったとする野党の試算内容を事実上認めた。

 アベノミクスの要となる賃金の伸び悩みを認めたことになる。

 不適切な統計調査が安倍晋三政権の看板政策に打撃を与えた形で、今後、説明が求められよう。

 それ以上に見過ごせないのは、国会での実態解明に消極的すぎる態度だ。問題に正面から向き合う姿勢を示せなければ、政権への不信感はさらに高まるだけだ。

 国の統計の誤りは、あらゆる政策に影響する。誤りの原因を明らかにし、正そうとするのに与野党の立場に違いはないはずだ。

 この点は、改めて押さえておきたい。そのうえで、政府与党には真摯(しんし)な対応を求めたい。

 厚労省に関しては、幹部職員が勤労や賃金の統計について、不正を知りながら修正も報告もしていなかった事例が複数、判明している。いずれも、隠蔽(いんぺい)していたと受け取られても仕方がない。

 厚労省が「第三者の立場」だとしていた特別監察委員会も、一部の聴取に同省の幹部が立ち合っていたことが明るみに出た。

 そればかりか、同委員会の委員長が所属する団体の予算の大部分に厚労省の運営交付金が充てられていることも分かった。調査の中立性への疑念は深まったままだ。

 同省の自浄作用は期待できず、国会の場で真相を明らかにするしかないのは明白だ。しかし、これまでの審議では、政府与党の非協力的な態度が目立つ。

 野党は、不正が発覚した賃金構造基本統計を担当し、更迭された元政策統括官の参考人招致を繰り返し求めているが、与党は拒否し続けている。「現在の担当でない」ことをその理由にしている。

 だが、経緯を知る幹部に証言させない姿勢は、森友学園の国有地売却問題で財務省理財局長経験者の国会招致を拒み続けたこととも重なる。真相解明を避けたがっていると見なさざるを得ない。

 不正の背景には、統計部局の担当職員が10年間で2割削減され、予算も縮小したとの指摘がある。 こうした背景に切り込み、原因を探り出すことも政治の責任ではないか。それがなされなければ、同じ過ちが繰り返されるだけだ。

 厚労省は関わった幹部らを処分しているが、その妥当性を含めた議論も必要だ。官僚だけの責任にして幕を引いてはならない。