原発マネーの流れにどこまで迫ることができるだろうか。

 関西電力の役員らが、原発立地先の福井県高浜町の元助役(故人)から多額の金品を受け取っていた問題で、関電は実態を解明するための第三者委員会を設置した。

 関電の会長だった八木誠氏ら5人は取締役や執行役員を辞任している。不祥事の当事者が経営トップに居座ったままでは、第三者委の調査も客観性が疑われる。遅きに失したが、辞任は当然だ。

 第三者委の委員長には元検事総長を充て、元裁判官や弁護士など法曹のプロが委員に就任した。

 強制力のある権限を持たず、当事者である元助役が亡くなっていて事情聴取できないなどの限界はあるが、関電の意向に左右されることなく徹底的に調べてほしい。

 今回の不祥事は、利用者の電気料金を含む巨額のマネーが立地地域に流れ、その一部が関電役員らに還流する構図を疑わせる。

 取締役会や監査役が十分に役割を果たしていなかったことは明らかだ。だが、そうした企業統治の問題以上に、原発事業者と地元関係者との構造的な癒着ぶりを浮き彫りにした。

 第三者委の調査は、元助役からの金品受領がいつから始まったのか、元助役と深い関わりがある地元建設会社への集中的な工事発注が適切だったかなどが焦点だ。

 関電の社内調査では、入札を伴わない形での発注で多数の契約を結んでいたり、工事概算額を元助役に伝えることが慣例になっていたりしたことが判明している。

 関電は公益企業として手厚く保護され、地域での電力供給事業を事実上、独占してきた。

 国策事業ともいえる状況を背景に巨額の資金をつぎ込んで原発建設を進めてきたことが、地元の利権を牛耳る有力者を生み、今回のような事案につながったのではないか。こうした構造を解明する必要がある。

 関電は第三者委に12月下旬の報告書とりまとめを求めているが、報告書提出を問題の「幕引き」にしてはいけない。調査は期限にとらわれず、しっかり行うべきだ。

 結果次第では、取締役らを対象にした収賄罪の規定がある会社法などを根拠にした刑事告発も念頭に置く必要があるのではないか。

 原発事業を推進してきた政府も知らぬ顔で済ますわけにはいかない。関電の不祥事は、原発事業に対する国民の不信感を増幅させた。政府や国会も実態解明に本腰を入れなくてはならない。