松ヶ崎立正会が用意した護摩木

松ヶ崎立正会が用意した護摩木

山が寄り添うように描かれたロゴ

山が寄り添うように描かれたロゴ

松ヶ崎立正会の岩﨑さん

松ヶ崎立正会の岩﨑さん

 京都の伝統行事「五山送り火」で唯一、護摩木を焚く風習がない「妙法」の二つの山をともす松ヶ崎立正会は、今年初めての取り組みに臨むはずだった。長い歴史で初めて一般からの護摩木を受け付け、送り火にくべる予定だったのだ。しかし新型コロナの感染拡大の影響を受け、今年は断念するしかなかった。

 京都市左京区の松ヶ崎地域の送り火の由来については、日蓮宗の教えが関わるとされている。例年送り火当日、「妙」の中心部分で読経をする涌泉寺(京都市左京区)の住職、八竹良明さん(69)は「日蓮宗は他宗派とは異なるとの考えから、護摩木を焚く風習がなかった」と話す。

 しかし、鎌倉時代から続くとされている伝統を受け継いできた松ヶ崎地域も、新しい住宅地が立ち並ぶようになった。松ヶ崎立正会は、より広く地域の人に参加してほしいとの願いから、護摩木を用意した。地域の夏祭りや、送り火当日に受付を設け、護摩木に願いを書いてもらう予定だった。

 用意した護摩木は、他の4つの保存会を参考にヒノキ製で、縦30㌢、横は3㌢、厚み1㌢。上部には松ヶ崎在住の美術家、岩澤有徑さんがデザインを手掛けた特製のロゴが描かれている。山に浮かぶ字体をそのままに草書体の「妙」と、隷書体「法」が書かれ、山が寄り添うように並んでいる。

 だが、コロナ禍で夏祭りなどの地域行事も中止が相次ぎ、市民に書いてもらう機会がなくなったため、今年の受け付けは、「妙法」の地元にある二つの寺の檀信徒だけとした。今年燃やすのは用意した半分の2千本に留まる。

 松ヶ崎立正会の岩﨑さんは、「来年こそ、多くの人に書いてもらい、参加してほしい。護摩木に願いを託してもらえたら。地域の人たち共に送り火の伝統を守っていきたい」と願いを込めた。