空君が手作りしていた本棚に野球のボールを飾り、遺影を見つめる母親(京都府京丹波町)

空君が手作りしていた本棚に野球のボールを飾り、遺影を見つめる母親(京都府京丹波町)

母親が事故発生以来、携帯電話に残す露店爆発の写真。「残酷さを知り、事故を繰り返してほしくない」と語る

母親が事故発生以来、携帯電話に残す露店爆発の写真。「残酷さを知り、事故を繰り返してほしくない」と語る

 花火大会の見物客3人が死亡、55人が重軽傷を負った京都府福知山市の露店爆発事故は15日、7年を迎えた。小学5年、10歳で生涯を終えた京都府京丹波町の山名空君の母親(46)が京都新聞社の取材に応じ、「会いたい気持ちは変わらないけど、空に泣き顔をもう見せたくない」と癒えない悲しみとともに、前を向いて生きる心境を語った。

 2013年8月15日夜、由良川の河川敷で露店の店主が開栓した携行缶のガソリンが、噴出して屋台の火に移り、大爆発を起こした。祖父らと会場を訪れていた空君も巻き込まれた。

 花火大会に行けなかった母親は搬送先の病院で、大やけどを負って変わり果てた息子と再会した。綾部市から京都市へ転院搬送される救急車の中で「お母さん」と呼ぶ声は、かすれていた。一時安定した容体は4日目の朝、急変する。「目を開けて、起きて」。願いは届かなかった。

 事故から数年、「空、空がいない」と悲しみに暮れた。そんな自分に腹立たしさも感じ、時に衝突した夫=当時(44)=は昨年5月、脳出血で急逝した。喪失感とともに「空と旦那が一緒にいるんだ」と思う安心感も芽生えた。何より、笑顔の絶えなかった愛息はこう思っているはずだ。「母ちゃん、いつまでも泣くなよ」

 今春、自宅にたくさん残る空君の遺品を初めて整理した。「ずっと置いておくと、また悲しくなるから」。でも、空君のお気に入りのパーカや大好きだった野球のグローブとボールなどは捨てられなかった。整理中、部屋に手作りの本棚があることに気付く。緑とグレーの2色のペンキが塗りかけのまま。母親は「あの夏、空が旦那と一緒に作り、塗ったまま遊びに出掛けたのだろう」と思い起こす。野球のボールと思い出の写真を飾った。

 発生から7年。「事故を忘れてほしくない」。だから、事故直後、知人から送られてきた爆発の瞬間をとらえた画像を携帯電話から消さない。にぎわう会場の人波が一画だけ炎に包まれた1枚。「自分では伝えきれない事故の悲惨さが伝わる」。同じような事故が繰り返されないことを願う。

 今夏も、少年野球で白球を一緒に追いかけた同級生が墓参りしてくれた。「きっと空も野球を続けていただろうな。高校野球最後の夏になっていたと思う」。母親はユニホーム姿の遺影に目をやった。