何のために再会談するのか。その目的を見失ってはなるまい。

 トランプ米大統領と北朝鮮の金正恩(キムジョンウン)朝鮮労働党委員長の2回目の首脳会談が27、28の両日、ベトナムで開催されることになった。

 昨年6月の初会談では、朝鮮半島の「完全非核化」を約束し、トランプ氏は北朝鮮の体制保証も確約した。しかしその後、非核化を巡る協議は進展が見られない。

 再会談では、米国が求めながら初会談の共同声明に明記されなかった「完全かつ検証可能で不可逆的な非核化」に、どう道筋を付けるのかが大きな焦点だ。

 ただ、非核化を巡る米朝の認識には開きがあり、事前の交渉でも詰め切れているとは言い難い。

 見切り発車で再会談を決めた感がぬぐえない。トップ同士の顔合わせが単なる政治ショーに終わってしまえば、実務レベルの協議も前進させることが難しくなる。

 せっかくの首脳会談が、かえって非核化への道を遠ざける結果になっては困る。

 これまでの交渉は、北朝鮮ペースで進んでいる印象だ。

 金氏は1月に「これ以上、核兵器をつくらない」と明言、トランプ氏との再会談に意欲を示した。

 その一方で、米政権と貿易を巡って対立する中国を同月に訪問して、習近平国家主席との親密さを強調した。昨年9月の南北首脳会談では、米側が「相応の措置」を取れば寧辺の核施設を永久的に廃棄する用意があるとの主張を共同宣言に盛り込んでいる。

 中韓両国を引き込む形で再会談を有利に運ぼうと、着々と布石を打ってきたようにみえる。

 これに対し、「ねじれ議会」やロシア疑惑など内政で苦境に追い込まれたトランプ氏は、金氏の誘いに乗せられたかのようだ。

 トランプ氏は「(金氏と)取引できる可能性は大いにある」と述べ、再会談で合意に達することに楽観的な見方を示している。

 だが、米政権内ではコーツ国家情報長官が議会公聴会で「北朝鮮は核兵器と製造能力を完全に放棄しそうにない」との分析を示すなど、再会談で具体的成果を上げられるかには疑問の声も出ている。

 北朝鮮は、実質的な非核化措置に何ら踏み出さないまま、再会談の実現を手にした。非核化についての金氏の真意を、しっかりと見極める必要がある。

 会談で結果を出したいトランプ氏が中途半端に「取引」し、北朝鮮の核戦力が温存されるような事態は避けねばならない。