内閣府が発表した2020年4~6月期の国内総生産(GDP)速報値が、物価変動を除く実質で前期比7・8%減少した。年率換算すれば27・8%減で、リーマン・ショック後の09年1~3月期を超え、戦後最悪のマイナス成長となった。

 新型コロナウイルスの感染拡大を抑え込むための緊急事態宣言が4~5月に出され、経済活動が縮小したためだ。

 特にGDPの半分以上を占める個人消費は、営業の休止や外出自粛が広がったことで8・2%減と大幅に落ち込んだ。

 旅行や外食が手控えられ、サービス業が幅広くマイナスとなった。消費税率を8%に引き上げた影響が出た14年4~6月期を大きく超える下げ幅だった。

 政府は、継続している観光支援事業「Go To トラベル」などで消費のてこ入れを図る方針だ。西村康稔経済再生担当相は、内需主導で成長軌道に戻すと強調した。

 だが、コロナ禍の長期化を見据え、店舗閉鎖や人件費削減に動く企業も出ている。収入が不安定になり、観光どころではない人もいる。

 足元では感染者が急増し、「第2波」への心配も高まっている。ワクチンや治療薬が行き渡るまで、消費行動の本格回復は期待できないのではないか。

 消費刺激策による需要の喚起は難しいと言わざるを得ない。政府は経済対策の順序を見直す必要がある。中途半端な景気刺激策ではなく、雇用と所得の下支えに力を注ぐべきだ。

 経済の力強い回復を目指す上で重要なのは、安心して支出できる環境を整えることだ。

 需要の急減で、企業業績も悪化している。上場企業の4~6月期決算の純利益合計は、前年同期比53・7%減と大幅に減少した。

 懸念されるのは、消費の減退と企業の業績悪化が所得環境に影響を及ぼしていることだ。

 4~6月期の実質雇用者報酬は3・7%減と、リーマン・ショック後よりも悪化した。識者からは、年末にかけて失業率が緩やかに上昇するとの指摘も出ている。

 内需のもう一つの柱である設備投資も2四半期ぶりに減少した。

 先行きの不透明さから企業が慎重姿勢を強めたとみられるが、テレワークの拡大など新たな働き方を商機と捉える企業もある。政府は企業の力を高め、雇用維持にもつながるような取り組みを積極的に支援してほしい。