2019年度中のリニューアルオープンを目指し、工事が進む京都市美術館(京都市左京区岡崎)

2019年度中のリニューアルオープンを目指し、工事が進む京都市美術館(京都市左京区岡崎)

 京都市美術館(左京区)のリニューアルオープンに合わせた料金体系の見直しで、市は、貸し館の使用料を最大約2倍に引き上げる方針も決めた。「施設の拡充に伴って運営経費が増えるため」と説明しているが、美術家からは作品を発表する機会の減少や芸術の衰退につながると懸念する声が上がっている。

 市は、運営経費は2016年度に約2億1千万円だったが、19年度中の再オープン後は約4億円に膨らむと試算する。現代アートの展示室や収蔵庫を備えた新館の建設などによって光熱水費や設備点検費、警備費などが増えるとみて、貸し館使用料の引き上げで約1200万円の収入増を図るという。

 貸し館使用料の引き上げ幅は基本的に約20%。例えば、2階南の展示室は従来1日当たり4万7300円だったが、再オープン後は同規模のスペースで5万7600円(21%増)とする。展示会が有料で、2週間以上使用する場合はそれぞれ1割高くするといった割増規定も新設する。この結果、1日当たりの最高額は、従来の9万4600円から20万2950円(114%増)となる。

 一方、従来1、2階に計四つあった展示区画を八つに細分化し、料金を安くすることで「小規模展を企画する市民や若手作家が借りやすいように配慮する」という。1平方メートル当たりの使用料は43円から54円に上がるが、全国20政令指定都市のうち、貸し館事業を手掛けている大阪市や福岡市などが運営する9館の平均額64円と比べると安いという。市は「これまでが安すぎたため、適正化を図りたい」としている。

 貸し館使用料の値上げは過去10年間で5回目となり、10年前の2・85倍になる。美術関係者が3年前に立ち上げた「京都市美術館問題を考える会」の代表で、彫刻家の貴志カスケさん(66)は「美術家にとっては大打撃だ。若手作家が育たなくなり、新しい芸術が生まれなくなる」と危機感を募らせる。

 市美術館で展覧会を開いてきた20団体でつくる京都美術団体連合は1月8日、使用料設定について再考を求める要望書を市に提出した。幹事の小泉広明さん(51)は「美術家といっても大学教授から年金生活者まで多様で、なけなしの給料で制作している人もいる。このままでは展示会の開催数を減らさざるを得ない団体も出てくる」と訴える。