「春一番早掘り筍」と記した名称札。毎年書く「京の」や「土くい」の文言は今季消えている(向日市寺戸町・神崎屋季節店)

「春一番早掘り筍」と記した名称札。毎年書く「京の」や「土くい」の文言は今季消えている(向日市寺戸町・神崎屋季節店)

 京都府の乙訓地域をはじめ西山一帯が名産地として知られ、シーズン全般の収穫量を占う、手のひら大の小ぶりのタケノコが不作に陥っている。昨年9月の台風21号で、産地が被害を受けたことが要因とみられ、例年店頭に並ぶ地元産は姿を見せないまま。生産農家や販売店の関係者らから心配の声が上がっている。

 旬の野菜をひと足早く楽しんでもらおうと、毎年12月中旬ごろから地元産の小ぶりのタケノコを扱っている向日市寺戸町の神崎屋季節店。今季は四国や九州地方の産地で掘られた同じくらいのサイズのタケノコに代わっている。名称札から「京」の字も消えた。

 仕入れ先の中心となる京都市西京区の農家3軒から入荷がないためで、同店会長の布施孝一さん(81)は「一昨年12月には3軒から約20~30キロの入荷があったのに比べて、昨年末から入荷はほとんどなかった」と話す。

 小ぶりのタケノコは白くて柔らかく、香りや風味を楽しめるのが特徴。京料理では勢いよく根の張る旺盛な生命力にちなみ、正月のめでたい食材として重宝され、おせちやたけのこご飯、おすましで食べる。

 秋から冬にかけて竹林に敷いたわらの上に土を重ねる作業「土入れ」のときに姿を見せる。「土喰(く)い」とも呼ばれ、手のひらに収まるほどのサイズだ。農家が自分たちで消費するため、市場に出回る量は少ない。地中に残ったものは本格的なシーズンに入って掘り出されることから、収穫量の指標の一つとされている。

 生産農家の安田忠和さん(73)=向日市物集女町=の竹林では、台風21号で約千平方メートル当たり約30本の竹が倒れたり折れたりするなどの被害が出た。「土喰いの量も少なかった。土の中は見えないので何とも言えないが、タケノコの収穫量は落ちるだろう」と話す。

 JA関係者によると、強風によって竹が揺れ、タケノコを生む地下茎が断裂し、養分が届かなくなっている可能性があるという。「かつてない被害で、どの程度の影響が出るかは分からない。現時点では今年のタケノコの出回りは少ないと予想している」としている。