井伊直弼の和歌集「柳廼四附」を現代活字で書き起こした小田さん(彦根市役所)

井伊直弼の和歌集「柳廼四附」を現代活字で書き起こした小田さん(彦根市役所)

直弼が藩主として国入りした際の和歌などを現代活字にした本(右)と複写本

直弼が藩主として国入りした際の和歌などを現代活字にした本(右)と複写本

 滋賀県彦根市の元教諭小田輝子さん(92)=同市芹橋2丁目=が、彦根藩主井伊直弼の直筆の和歌集「柳廼四附(やなぎのしづく)」を解読して現代活字で書き起こし、約20年間かけて本にまとめた。尊攘(そんじょう)派への弾圧のイメージが強い直弼だが、小田さんは「歌を通じ、古里や文化を愛する優しさがあったことを知ってほしい」と話す。

 柳廼四附は重要文化財の井伊家文書の一つ。和歌好きで知られた直弼が自詠の千首以上を編集した。上・下巻で計220ページあり、四季や恋、祝賀などの項目に分類されている。書きとどめていた歌を藩主になった嘉永4(1851)年以降、清書したとみられる。

 小田さんは97年にあった彦根城博物館の古文書展で歌集の存在を知った。同館から複写資料の提供を受け、同館で月1回ある解読の勉強会で読み下しを進めた。直弼の字は同じひらがなで崩し方が異なる上、漢字は当て字が多く、たどるのに苦労したという。

 「初めて 国にかへるとき 道のさきざき民ともの あまた出むかひたるを見て」は、兄の急死で世継ぎとなった後、江戸での暮らしを経て、初めて藩主として国入りした際に詠んだとされる。

 小田さんは「民が出迎えてくれたことによほど感銘したのだと思う。これまで知られなかった直弼の姿が伝われば」と話す。

 解読本に原本の複写本を合わせて税抜き6千円。問い合わせは同博物館0749(22)6100。