「庖丁コーディネーター」として、日本で進化したさまざまな包丁の文化を伝える廣瀬さん(京都市下京区黒門通高辻下ル・食道具竹上)

「庖丁コーディネーター」として、日本で進化したさまざまな包丁の文化を伝える廣瀬さん(京都市下京区黒門通高辻下ル・食道具竹上)

 「庖丁(ほうちょう)コーディネーター」を名乗る男性が、京都市内で昨年開いた店舗で包丁の魅力や文化を伝えている。新型コロナウイルスの感染拡大で外出せず自宅で過ごす「巣ごもり」が広がり、今年は自炊道具に注目が集まる。男性は「生活文化でもある包丁の奥深さを伝えたい」と話す。

 京都の包丁専門店で16年修業し、2010年に独立した廣瀬康二さん(50)。南丹市八木町で工房を兼ねた包丁店「食道具竹上」を運営し、昨年9月にギャラリーとキッチン併設の専門店を京都市下京区黒門通高辻下ルにオープンさせた。

 店では鍛冶職人が打った鋼の刃を研いで整え、柄を取り付ける。使い込んだ包丁の修理も手掛ける。取り扱うのは、刺身包丁やそば切り包丁、ハモの骨切りに使う特殊包丁、果物ナイフなど、用途やサイズ別で200種近くに上るという。

 ライフワークは、日本で独自に進化した包丁文化の伝道だ。その舞台になるのが、店舗に設けたオープンキッチン。少人数制の包丁の研ぎ方講習や料理教室を定期的に開き、料亭などで修業を積んだ若手料理人が腕を振るうイベントにも場所を貸し出す。

 コロナ禍で一部の催しは一時休止したが、自炊が広がり、包丁の問い合わせは増加。親子で料理が楽しめるよう、本格的な子ども用包丁も7月に新たに商品化した。

 来年からは炭屋旅館(中京区)と提携し、茶懐石料理を学ぶ教室も年間を通じて開く予定。開店1周年を記念し、その場で作った料理を味わうプレイベントを9月28日に開く。

 廣瀬さんは「『切れ味』という表現は日本独特で、包丁がよく切れるだけで生活が快適になる。豊かな包丁文化を伝え、食と道具と人を結び付ける空間をつくっていきたい」と力を込める。