学校の寮で新型コロナウイルスの集団感染が相次いでいる。

 奈良県の天理大で、50人を超すラグビー部員の感染が確認されている。接触を伴う練習中に加え、部員寮でも感染が広がったとみられている。島根県の立正大淞南高ではサッカー部の寮を中心に100人近い感染者が出た。

 7月には甲賀市の専門学校でも野球部員の集団感染が発生した。大半の感染者が寮生活だった。

 寮には共用のスペースが多い。若者は感染しても軽症や無症状が多いことから、警戒感が薄れがちだとも指摘されている。共同生活に潜むリスクを認識し、いま一度、感染対策を点検してほしい。

 天理大ラグビー部は部員168人全員が同じ寮で生活していた。3~4人の相部屋で、食堂や風呂は共用だった。ただ、部員同士の間隔を空けたり、時間をずらして少人数で利用したりする対策はとっていたという。

 甲賀市の専門学校での集団感染は、「夜の街」に出かけた一部の学生が感染し、同じ寮に住む学生に広がったことが滋賀県の調査で判明している。

 県によると、集団行動時にマスク着用が徹底できておらず、風邪症状があっても部活動を休まない風潮があったことが、感染拡大の要因になったとみられるという。

 対策を講じたつもりでも、少しの「穴」から感染が広がるリスクがあることを示していよう。

 文部科学省は学校生活の衛生管理マニュアルで、学生寮は宿泊施設のガイドラインを参考にするよう定めている。より高度な感染対策が求められる高齢者施設向けの指針もある。共同生活のリスク回避に役立てられるのではないか。

 「3密」になりやすい寮の環境を改善することも有効になろう。

 京都府は5月に作成したガイドラインで、寄宿舎や学生寮の居室はできる限り1人部屋となるよう大学などに配慮を求めている。京都女子大は9月から学生寮を1室1人制とし、寮生を分散居住させることを決めた。

 ただ、こうした対策は別の施設へ転居が必要になるなど、学生の経済的な負担が伴う可能性がある。住環境の変化で学業や学生生活に支障が出ないよう、十分に配慮する必要がある。

 秋から多くの大学などで後期の授業が始まる。キャンパスなどで人との接触機会が増えると予想される。寮生も、体調不良時には無理せず部活動を休むなど、感染拡大防止へ自覚を持った行動が求められる。