生活に行き詰まる人が、かつてない規模で増えている。

 新型コロナウイルスの感染拡大が影響しているのは明らかだ。経済活動の停滞が続き、生計を支える仕事や収入を失って困窮に陥る世帯が広がっている。

 暮らしをつなぐため公的な給付や融資制度に助けを求める動きは、経済・雇用危機に覆われたリーマン・ショック時をはるかに上回る。

 コロナ感染の収束は見通せず、長引くにつれて社会経済への影響の深刻化が懸念されている。

 行政の支援が本当に必要な人に届いているのか。その場しのぎでなく、暮らしの維持と立て直しへの継続的な援助が求められる。

 最も必要とされるのが、当面の生活資金と家賃の手当てだ。

 最大20万円を無利子で借りられる緊急小口資金に申し込みが殺到し、7月中旬までに申請総額1千億円を超えた。リーマン後の2009年度の約80倍に上るという。

 対象を低所得の世帯に加え、特例で収入減などにも広げた。一律10万円の定額給付金の支給が遅れた影響もあり、急場をつなぐのに求められたといえよう。

 また、失業や収入減で困窮した人の家賃を補助する住居確保給付金は、6月だけで支給決定数が約3万5千件に上り、年間最多だった10年度1年分に迫っている。

 背景に雇用情勢の悪化がある。コロナ禍に関わる解雇や雇い止めは4万5千人を超える。勤務先が休業中の人を含め、生計の維持と住まいの確保が脅かされている現状を浮き彫りにしている。

 さらに感染の再拡大地域では、外出自粛や休業が要請され、経営や雇用面で持ちこたえられない業者の増加が心配されている。

 政府は追加予算として、中小事業者向けの持続化給付金に約9千億円、緊急小口資金などに約1700億円を本年度第2次補正予算の予備費から支出する。

 支援制度を巡っては、なお要件が厳しく、対象が分かりにくい上、学生や外国人らへの周知不足といった声も少なくない。使い勝手の改善が不可欠だ。

 生活をつなぐ資金でも、融資は借金として積み上がる。緊急小口資金は、返済の期限延長や免除の要件も設けているが、収入や生活の実態に応じて柔軟な運用が求められよう。

 生活保護の申請も急増しているが、自治体が厳しい条件をつけたり、周囲の目を気にしたりして抑制されているとの指摘がある。最後のセーフティーネット(安全網)の役割を改めて確認したい。