行き場を失うなどの理由で、咲きすぎたバラ(守山市洲本町・大井農園)

行き場を失うなどの理由で、咲きすぎたバラ(守山市洲本町・大井農園)

 新型コロナウイルス感染の影響で、滋賀県内有数のバラの産地である守山市の生産業者が苦境に立たされている。今春以降、「晴れの日」需要が吹き飛んだためだ。一方で、日常使いの提案や新たな販路を模索する動きもでている。

 市農政課によると、業者への聞き取り調査では4、5月の売り上げが25~50%程度減少したという。

 バラの切り花の専門業者の大井農園(洲本町)は入学式、婚礼需要の大幅減が響き、4月以降のバラ1本の単価が前年度比6~7割減になった。月生産本数の3割程度しか出荷できず、国の支援もあったが、売り上げが半減した。行き場を失ったバラは廃棄処分した。大井慎太郎社長(51)は「年末年始の需要回復は読めず、積極的に生産に踏み切れる状況ではない」と話す。

 市は生産者支援のため公共施設や市内の商業施設の玄関口にバラやキクなど地元で栽培された花を飾る取り組みを始める。市民にアピールし、消費を刺激する狙いだ。

 一方で、インターネット通販で売り上げを伸ばす業者もいる。独自品種「和ばら」の開発とブランド化に取り組むバラ園「ローズファームケイジ」は市場出荷分の売り上げが落ち込んだものの、4、5月の一般向けの売り上げが6~7倍に跳ね上がった。6月以降もリピーターによる購入が絶えず、全体で増収となった。

 國枝健一社長(39)は「自宅で過ごす時間が長くなり、後ろ向きになりがち。花で心が救われた人が多かったのでは」と分析する。花と加工品のセット販売など一般消費者への販売を強化し、花店に直接卸して販路拡大を目指す。