31日に閉店する西武大津店。地域経済の中核施設がなくなり、地元経済への影響が懸念される(大津市におの浜2丁目)

31日に閉店する西武大津店。地域経済の中核施設がなくなり、地元経済への影響が懸念される(大津市におの浜2丁目)

 開業から44年にわたって地域のランドマークでもあった西武大津店(大津市におの浜2丁目)が31日で閉店する。滋賀県は全国でも数少ない「県庁所在地に百貨店がない県」となり、閉店は地域経済やまちづくりの在り方にも影響を与えそうだ。

 お盆休みが過ぎた18日。店内には「サンクスセール」と書かれた垂れ幕やポスターがあちこちに張りだされ、猛暑の中、平日にもかかわらず多くの人がセール品を目当てに訪れていた。夫と来店した女性(66)は「子どもが小さい頃によく来ていた。新型コロナウイルスの感染が心配で京都へ買い物に行くのを控えているので、3月以降またよく足を運んでいただけに、閉店は残念」と惜しんだ。

 西武大津店は琵琶湖岸を埋め立てて1968年に開かれた「びわこ大博覧会」の会場跡に、76年にオープンした。滋賀は西武グループ創業者堤康次郎の出身地で、ゆかりが深い。バブル崩壊後に売り上げが低迷しても同店は営業を続けていたが、昨年10月、そごう・西武を傘下に持つセブン&アイ・ホールディングスが閉店を発表した。

 日本百貨店協会によると、加盟百貨店がない県庁所在地は、今年1月に県内唯一の百貨店が経営破綻した山形県のみ。西武大津店が閉店すると、同じく今月末で百貨店が閉まる徳島県と合わせて3県になる。

 跡地について、大津市は昨年12月、地元住民の要望を受け、商業施設としての存続を申し入れた。だが同店の土地建物を所有するマンション大手、長谷工コーポレーション(東京都)は来月にも解体工事に着手し、4年後をめどに同店本館跡地に約700戸、北側駐車場に約400戸の分譲マンションを建設するとみられており、地域経済の中核施設が消えることになる。

 娘家族と買い物と食事に訪れた男性(78)は「周囲に既にマンションがたくさんあるのに、さらに増えると商業地域という感じがしなくなる」と話す。近くの膳所駅前商店街振興組合の理事長で、居酒屋を営む平井湖さん(47)は「西武大津店の来店客だけでなく、店で働いていた人たちが商店街に立ち寄ってくれていただけに、閉店後は人の往来は減るだろう」とみる。「マンションが新たにできると地域人口は増えるので、商店街としてはそのニーズにあった営業展開や店舗誘致などを進めるしかない。土地利用制限の緩和など、市にはぜひ活性化につながる施策を」と期待する。


 大津市は、2017年に改定した都市計画マスタープランで、JR膳所駅周辺を広域的な商業機能や観光・交流などの都市機能の集積を促進する地域と位置づけている。市の中心市街地の一部でもあり、百貨店がマンションに変われば、商業地域としての求心力低下につながりかねない。大津市は「インターネット通販の拡大や郊外型安売り店の進出など、商業形態や消費行動の過渡期にある中で、今後どのような業態が伸び、市民が求めるのかを見極め、商業振興の在り方を検討していきたい」(商工労働政策課)とする。併せて「商業施設以外の別の魅力を高め、地域の活性化につなげたい」(都市魅力づくり推進課)としている。