がんに対してうまく働かない免疫細胞を活性化させる手法を開発したと、京都大などのグループが発表した。ワクチンの考え方を応用し、がんに特徴的に存在するタンパク質を投与して、免疫を強化した。がん免疫療法の新たな戦略となるという。米科学誌に12日、掲載される。

 2018年のノーベル医学生理学賞は、免疫チェックポイント阻害薬PD1抗体の開発に関わった京都大の本庶佑(ほんじょたすく)特別教授が受賞するなど、がん免疫療法への注目が高まっている。一方で、免疫療法の効かない患者の多さも課題となっている。

 京大工学研究科の秋吉一成教授や長崎大の村岡大輔准教授らは、PD1抗体などを投与してもがんを治療できない種類のマウスを見つけた。このマウスを調べると、マクロファージという免疫細胞の一種の、がん細胞への反応が低下していた。

 そこで、がんに特徴的なタンパク質を直径約40ナノメートル(ナノは10億分の1)の無数の粒子に包んで血中に投与すると、マクロファージの反応性が高まった。さらにがんだけを攻撃するキラーT細胞を投与したところ、マウスのがんの増殖を抑えられた。

 村岡准教授は「新たながん免疫療法のアプローチとなり得る。免疫チェックポイント阻害薬などほかの治療法と組み合わせることもできるかもしれない」と話す。