千葉県野田市の小学4年、栗原心愛(みあ)さん(10)が死亡し、傷害容疑で両親が逮捕された事件では、児童相談所(児相)が虐待を疑いながら、一時保護を解除したことなどが、不適切な対応だったとされている。

 子どもの発したSOSを、関係機関が、きちんと受け止められなかった。これは、行政の不手際だといわざるを得ない。

 児童虐待の根絶に総力を挙げるとして、政府が関係閣僚会議を開いたのは、当然の成り行きだ。実効性のある対策を、速やかに打ち出すよう強く求めたい。

 児童虐待は、増加の一途をたどっている。

 警察庁が公表した2018年の犯罪情勢によると、虐待の疑いがあるとして警察が児相に通告した18歳未満の子どもは、初めて8万人を超えた。

 統計のある04年以降、増え続けており、過去5年間では3倍近くに膨れ上がった。

 暴言など心理的虐待、暴力による身体的虐待、ネグレクト(育児放棄)、性的虐待のいずれも前年を上回っている。

 事件が相次ぎ、通報が増えたこともあろうが、虐待は特異な事案ではなく、どこにでも存在する可能性が示された。

 これに対し、昨年摘発されたのは1300件余りにすぎない。

 残りの案件が、どのように扱われたのか、しっかり把握しておかねばなるまい。

 関係閣僚会議では、すべての虐待事案について、1カ月以内に安全確認することになった。

 児相が在宅指導している数万件が対象となる。全国の公立小中学校、教育委員会が虐待を疑うケースも点検する。事件に発展するリスクが高ければ、ためらわずに一時保護してもらう方針だ。

 緊急措置として必要だろう。虐待を阻止するのはもちろん、その芽も摘んでほしい。

 東京都目黒区で船戸結愛ちゃん=当時(5)=が死亡した事件を受けて、政府は昨年7月、子どもや保護者を支援する「児童福祉司」を増員する計画を打ち出した。

 今回は、これを予定より前倒しして進めるという。虐待の急増に対応するのに、不可欠な組織強化である。

 とはいえ心愛さんの件では、その児童福祉司の判断に問題があった。増員だけでなく、適切な対処のできる人材の育成も急務だ。虐待防止に向け、さらに工夫を重ねてもらいたい。