滋賀県がん患者団体連絡協議会が、県内のがん経験者を対象に治療の満足度や社会的支援の現状を尋ねる初めてのアンケートを行い、結果をまとめた。若い患者に対する支援不足が全国的に指摘される中、化学療法などの前に卵子や精子を凍結保存して将来の妊娠に備える選択肢があることを医師から説明されなかったと回答した人が4割に上るなど、課題が浮かび上がった。

 がん医療が年々進歩し、仕事や学業を続けながら長く付き合う病気になっていることを踏まえ、治療の満足度に着目して調査した。同協議会が県と連携して昨年10~11月、県内13のがん診療病院を通じて調査票を配布し、950部を回収した。回答者の年代は20~90歳代だった。

 がんの種類や治療法によっては不妊につながるケースがあり、将来の妊娠の可能性を残すために卵子や精子、卵巣組織を凍結保存する「妊孕(にんよう)性の温存」の指針を学会が策定している。アンケートでは、「温存」について医師から説明を受けたか尋ねたところ、50歳未満の回答者の39・4%(26人)が「説明はなかった」とし、「説明を受けた」の31・8%(21人)を上回った。「不妊への影響のみ説明を受けた」は7・6%だった。

 仕事の継続に職場の理解や支援が得られたかとの設問では、回答した正規従業員の87・4%が「得られた」としたのに対し、パート・アルバイトでは74%、派遣など非正規従業員では66・7%と低下した。治療や療養のため退職したかどうかについては、正規の83・7%が「していない」と答えた一方、非正規では73・2%、パート・アルバイトでは53・3%と差が開いた。退職したパート・アルバイトのうち再就職できていない人は30%に上った。

 「納得した医療を受けている」と回答した人は全体の91・9%と高かったが、「自分らしい日常が送れており、満足している」人は全体の54・5%にとどまった。県に力を入れてほしいがん対策(複数回答)については「がんの早期発見」66・2%が最も多く、次いで「専門的医療従事者の育成」と「拠点病院の充実など医療機関の整備」が43・1%だった。

 同協議会の天満清央副会長は「治療については納得しているが、自分らしい生活を送れていない患者がおり、さまざまな相談窓口や支援情報が知られていないことも分かった。患者に届く情報提供の在り方を考えなければならないだろう」と話している。

 県によると、がん治療に関するアンケートは自治体や医療者が実施した例はあるが、患者団体主体の事例は全国でもほとんど例がないという。県は本年度、県がん対策推進計画第3期計画(2018~23年度)の中間評価を行う予定で、アンケート結果を基礎資料にする。アンケート結果は「滋賀がん患者力.com」のホームページから閲覧できる。