「危険な暑さ」「命にかかわる暑さ」―。このところ天気予報のキャスターたちから聞かない日はない。

 今週の17日、浜松市で41・1度と国内史上最高タイの気温を記録した。8月に入り全国で40度を超えたのは3回、4地点に上る。

 猛暑で熱中症となり、最悪の場合は命をなくす。「危険な暑さ」は危機感を強く訴える表現で、最近になってよく耳にする。

 2年前、埼玉県熊谷市が今回の浜松と同じ最高気温を記録した際、気象庁は緊急記者会見を開き、「命の危険がある暑さ。災害と認識している」と表明した。異例の発言だ。

 猛暑を「災害」としたのは衝撃的だ。豪雨災害で多くの人が死亡しているが、熱中症で亡くなる人の数をみれば、災害というのもうなずける。

 熊谷で史上最高気温となった2018年に、全国で1581人が死亡している。厚生労働省の統計では、10年に初めて千人を超え、それからは高止まりしている。

 気象庁の記録をみると、国内気温の上位10地点のうち、07年以降が9地点を占めている。気温上昇に伴って死亡数が増加すると指摘される通りだ。

 こうなると、暑いと嘆くだけでは済ませられない。健康や生命に深刻な影響を及ぼす「災害」と、私たち自身も認識を持ち、しっかりと対処する必要がある。

 日本だけでなく、米国やイラクで50度を超す過去最高気温を記録するなど、世界が猛暑に見舞われている。気候変動による気温上昇が現実に進行していると心得るべきだ。

 温暖化防止に向け、温室効果ガス排出を減らす「緩和策」とともに、現に起きている温暖化の影響を避ける「適応策」が、各国に求められている。農作物の品種変更や洪水対策などに加えて、健康を守ることも適応策の一つだ。

 温暖化がもたらす危険な暑さから、どう身を守るのか。自ら適応策を考えたい。熱中症予防としての水分補給や適切な冷房利用だけでなく、住まいや生活、仕事、行動様式なども見直してはどうか。

 国は熱中症予防を呼びかけるだけでは不十分だ。都市の緑化や通風、建物の断熱化など、暑さから人を守る環境づくりに、温暖化を見据えて取り組んでもらいたい。

 地域の自然環境や生活文化によって、適応策はさまざまだろう。危険な暑さを乗り切るには、知恵を働かせることが大切だ。