閉店が決まった西武大津店(大津市におの浜2丁目)

閉店が決まった西武大津店(大津市におの浜2丁目)

飲食、服飾店などが並ぶ「ときめき坂」。西武大津店の撤退が地域に影を落とす(大津市馬場1丁目)

飲食、服飾店などが並ぶ「ときめき坂」。西武大津店の撤退が地域に影を落とす(大津市馬場1丁目)

 セブン&アイ・ホールディングスが発表した西武大津店(大津市におの浜2丁目)の来年8月閉店は、インターネット通販の普及など消費の変化を浮き彫りにした。一方、県都・大津の唯一の百貨店で、開業から43年にわたってランドマークでもあった商業施設が消えることになり、かねて同市の課題である中心市街地の空洞化が加速する可能性もある。

 「選択と集中を推進する。採算性の改善が困難と判断した店の閉鎖を決断した」。そごう・西武を傘下に持つ同ホールディングスの井阪隆一社長は、10日の東京都内での記者会見でそう述べた。
 インバウンド需要を取り込めない地方や郊外の百貨店の経営環境は厳しさを増しており、不採算店の閉店ドミノが起きている。「ネット通販や低価格のファストファッションの台頭で、百貨店の主力商品だった衣料品は厳しい。実店舗ならではのサービスを生かした集客で生き残るしかない」。ある百貨店関係者は業界の苦境を説明する。
 信用調査会社2社の滋賀支店は、雇用を除けば地域経済への影響は限定的とみる。帝国データバンクは「近隣には他にも商業施設があり、買い物の機会はそれらの店やネットで吸収できる」。東京商工リサーチは「跡地が引き続き商業施設になるのか、住宅になるのかが今後の焦点」と指摘し、再開発の内容によっては一帯の地盤沈下につながりかねないとみる。
 大津市では以前から京都、草津両市への消費の流出が進み、JR大津駅・京阪びわ湖浜大津駅かいわいの商店街の活性化が課題とされてきた。市が出資する株式会社「まちづくり大津」の服部吉嗣さんは「大津駅と西武大津店のある湖岸エリアとは(JR駅一つ分)離れているが、人の流れは連動している。市街地の再生に影響が出ないか心配」と話す。
 地元学区の「平野まちづくり協議会設立準備会」事務局長の尾中克行さん(69)は「にぎわい創出の中心施設として考えていた。まちのブランド力が低下してしまうのではないか」と懸念する。閉店後を見据えた地域活性化策が、来年1月の市長選の焦点の一つになるとみる住民もいる。
 西武大津店の建物や土地は今年2月に、マンション大手「長谷工コーポレーション」(東京都港区)に売却された。同社広報部は「今後の計画は決まっていない」としているが、戦後の代表的建築家で、大阪万博の「エキスポタワー」などの作品で知られる故菊竹清訓氏の設計による店舗建物は街のランドマークでもあるだけに、跡地利用が注目されている。
 住民グループ「ひらの円卓会議」幹事の川口博司さん(70)は「もしも(解体され)新しいマンションが建つだけだとしたら、少し物足りない」と漏らした。