歴史的な記録更新ではある。

 安倍晋三首相の第2次内閣発足以降の連続在職日数が佐藤栄作元首相を抜き、歴代1位となった。

 だが、新型コロナウイルス感染への対応が後手に回ったとの批判がある。経済再生などの看板政策も達成できているとは言い難い。

 森友問題を巡る公文書改ざんや「桜を見る会」に関する疑惑など長期政権ゆえの緩みも目立つ。

 共同通信が行った直近の世論調査では、内閣支持率が36%と安倍政権としては最低水準となった。

 政治に停滞は許されない。目の前の課題を地道にこなしていく姿勢が、いっそう求められる。

 コロナ対応では、収束しきっていない段階で「Go Toトラベル」を実施するなど、ちぐはぐな政策判断に疑問が広がっている。

 知事らは、休業要請に伴う補償規定がないなどとして、新型コロナ特措法の改正を求めている。

 しかし、政府与党は法改正の前提ともいえる臨時国会の召集に消極的だ。安倍首相は記者会見すら行わず、コロナ対策に陣頭指揮を執る姿勢を示していない。

 これでは、何のための首相職なのか、と問われかねない。

 ここへ来て、安倍氏の体調が思わしくないと指摘されている。一国の首相の健康不安は政治の意思決定を左右しかねず、国民にとっても大きな関心事である。

 リーダーシップを発揮し、責任を果たしていくことが可能なのかどうか、十分な説明が必要だ。

 安倍氏が長期政権を担い続けてきた背景には、「1強多弱」といわれる政界の現状もある。野党がまとまりに欠ける中、衆参各3回の選挙に勝利した。

 このことが、安倍氏を他に代わる者がない存在に押し上げたことは否定できない。

 ただ、デフレ脱却を掲げたアベノミクスは大規模な金融緩和と財政出動で株価回復につながった面はあるが、経済の地力を高める成長戦略の展望は描けないままだ。

 アベノミクスの恩恵が大企業や富裕層に偏るなど、格差は固定化しているようにもみえる。コロナ禍とも相まって国民生活が厳しさを増している現状を、歴代最長政権となった今、改めて見つめ直す必要があるのではないか。

 安倍氏はきのう、「政治は、その職に何日間在職したかでなく、何を成し遂げたかが問われる」と述べた。政治的遺産(レガシー)を残すことにこだわるよりも、国民が求める課題に全力投球し、結果を残すことが欠かせない。