地中からお地蔵さんを掘り起こした戸根さん(右)や吉本さん(中央)ら=京丹後市丹後町久僧

地中からお地蔵さんを掘り起こした戸根さん(右)や吉本さん(中央)ら=京丹後市丹後町久僧

 京都府京丹後市丹後町久僧の山中で、地中に埋もれた80体を超えるお地蔵さんの救出作戦が始まった。場所は室町時代まで久僧の人々が住んでいたとされる集落跡。住民らは今夏、数体のお地蔵さんを救い出し、「久僧のルーツがここにある」と一帯の再生を思い描いている。

 集落跡の名は「池上千軒」。地元の伝承によると、鎌倉時代に住み始め、南北朝時代には約60戸に広がった。室町時代の1557年に疫病による飢餓と大暴風雨が発生。人々は海沿いの久僧や中浜などに居を移したという。

 久僧の地域史などを調べる吉本宏雄さん(80)によると、地蔵群は現在の宇川温泉の約500メートル東に位置する愛宕山麓のため池跡のそばにある。住民は池上千軒を後にした後も周辺の田畑に通い続けた。だが、昭和40年代から田畑が放棄され始め、近年は雑木林になり地蔵も忘れられたという。10年前に調べた時にはため池跡の東に約20体、西に約60体を確認したが、現在では多くが埋もれてしまったという。

 そんな状況に、住民の戸根嘉郎さん(61)が今夏、住民や元地域おこし協力隊員らと掘り起こしを始め、8月2日には10体以上を救出した。宇川温泉から池上千軒などへの遊歩道整備とお地蔵さんの復活という「長年の夢」を描いて、協力者を募っている。

 吉本さんと戸根さんは「地蔵のある場所はいにしえから信仰の場所だったのかもしれない。久僧のはじまりの場所だから何とかきれいにしたい」と話している。