二酸化炭素濃度を通じて換気状態を監視するNKEの製品(京都市伏見区)

二酸化炭素濃度を通じて換気状態を監視するNKEの製品(京都市伏見区)

混雑具合をホームページで知らせるKOINのサービス(下京区・京都経済センター)

混雑具合をホームページで知らせるKOINのサービス(下京区・京都経済センター)

 新型コロナウイルスの感染リスクを抑え、いかに経済活動を正常化させるか―。産業界に突き付けられた課題に挑む動きが、京都の中小企業でも広がり始めた。技術やノウハウを生かしてアイデア商品・サービスを考案し、疫病とうまく付き合う社会を模索している。

 感染拡大を防ぐ行動の新様式として定着しつつあるのが、密閉、密集、密接の「3密」回避。このうち密閉の危険を知らせる商品開発に挑んだのが、工場の生産設備などを製造するNKE(京都市伏見区)だ。空気中の二酸化炭素(CO2)濃度を計測し、室内の換気状態を知らせる新製品「CO2れんら君」の販売を始めた。

 CO2濃度は一般的に屋外で0・04%前後、室内は0・1%程度とされる。任意で設定した基準値を上回ると、接続するモニターやメールで通知。生産設備の異常を知らせる自社製品を応用した。温湿度とともに熱中症などの危険度も4段階で表示する機能もあり、小学校や塾、接骨院などが導入したという。

 密集の「見える化」に取り組むケースも。京都知恵産業創造の森(下京区)が京都経済センター3階で運営するオープンイノベーションカフェ「KOIN」では、混雑度を3段階で示す運用を始めた。混み具合をホームページでリアルタイムに告知している。

 8月上旬に4カ月ぶりに業務を再開したKOINは、近く京都市に進出するITベンチャー、バカン(東京)の混雑回避システムを導入した。受け付けの担当者が利用人数に応じて専用端末のボタンを押すと、全席の8割程度が埋まっていれば「満」、半分ほどで「やや混雑」にサイトの表示が切り替わる。

 旅の不安を解消しようと、旅行業「夢ツーリストきたみ」(中京区)を営む北見貴志さん(57)が企画したのが、新型コロナウイルスのPCR検査付き旅行プラン。高齢者や障害者に配慮した「ユニバーサル旅行」を多く手掛け、「京都観光おもてなし大使」でもある北見さんが、旅行者と受け入れ側がともに安心できる商品として発案した。

 旅行2日前に宅配される検査キットで唾液を採取し、業者が医療検査機関に持ち込こんで即日検査する。陰性であれば証明書が発行され、出発前日に届く仕組みという。検査や証明書発行、配送などの費用は1人3万8550円。政府の観光支援策「Go To トラベル」を活用し、浮いた費用などを充てる利用を想定する。

 北見さんは「30年近く、誰もが楽しめる旅を企画してきた。コロナ禍の中でも安心して旅行できる環境をつくりたい」と説明する。観光需要の本格回復は見通せないが「今回は序章。ワクチン開発後には予防接種付きのプランも出したい」と、逆境で知恵を絞る。