6月23日に宮津市の栗田湾で観察されたミナミハンドウイルカの群れ(中島教諭提供)

6月23日に宮津市の栗田湾で観察されたミナミハンドウイルカの群れ(中島教諭提供)

2012年以降のミナミハンドウイルカ出没エリア

2012年以降のミナミハンドウイルカ出没エリア

 日本では主に太平洋側に生息し、日本海沿岸ではほとんど見られないとされてきたミナミハンドウイルカ(写真は中島幸一教諭提供)が、今年も京都府北部の若狭湾沿岸に現れている。2012年以降断続的に訪れており、専門家は地球温暖化の影響による海水温上昇で生息域を広げており、「定住」する可能性も指摘する。

 4月14日に京都府の伊根湾に7頭が出現し、17日には宮津湾の市街地付近まで入り込んだ。その後は主に宮津湾に滞在し、朝や夕方に沿岸近くでジャンプをする様子がほぼ毎日見られた。6月末には二つの群れが合流し16頭になったが、今も栗田湾に現れる1頭を除き、7月に別の海域に移動したとみられている。12年に宮津市の栗田湾に初めて2頭が数カ月間すみ着いて以降、17年に17頭、18年は23頭と、近年出現数が増加している。

 日本海側にはカマイルカやバンドウイルカが主に沖合で生息している。ミナミハンドウイルカは、水族館のショーでよく見られるバンドウイルカの亜種で、体長2~2・5メートル。水深10~15メートルの浅い海を好み、日本では天草諸島や伊豆諸島沿岸などに生息する。

 海洋高(宮津市上司)の中島幸一教諭(44)らの調査によると、背びれの欠損や傷などから、若狭湾に来る個体の多くが天草諸島由来だと判明している。京都府北部の若狭湾沿岸を訪れることについて、中島教諭は「若狭湾は波が穏やかで餌となる魚が多い。子育てに適した環境なのかもしれない」と話す。ミナミハンドウイルカの幼体は泳ぐ力が弱いため、子どものいる群れは波の穏やかな海域を求めるという。18年には宮津湾で出産も確認されている。

 ミナミハンドウイルカは沿岸近くに生息するため、ドルフィンウオッチングなどの観光資源となる一方、イルカの存在で魚が逃げてしまい漁業に悪影響を与えることもある。中島教諭は「漁業者と情報共有をし、人間とイルカが共存できるような環境が作れれば」と話している。