米大統領選で共和、民主両党の正副大統領候補が出そろった。

 共和党は現職のトランプ氏を党候補に正式指名した。副大統領候補に決まったペンス副大統領とともに、民主党のバイデン、ハリス両候補と対決することになる。

 トランプ政権は自国の利益を優先して国際協調に背を向けるなど各国との間に摩擦を生んでいる。

 この路線が今後も続くのかどうか、米国内だけでなく世界が注視している。

 地球的視野で、骨太の政策論戦が交わされることを期待したい。

 トランプ氏が発表した公約には「米国第一」が色濃くにじむ。

 貿易などで対立している中国から100万人分の製造業の雇用を取り戻すとしたほか、中国から米国内に雇用を戻した米企業には税額控除を導入するとした。

 中国企業に業務を委託する企業には、米政府と契約させない方針も打ち出した。

 国内では10カ月間で1千万人の雇用を生み出すことを明記し、「不法移民に終止符を打ち、米国人労働者を守る」と強調した。

 米国民や米企業の利益を最大限追求する姿勢を示すことで、勝利した4年前の選挙戦の再来を目指しているかのようだ。

 ただ、海外駐留米軍の撤退・縮小を進める方針を改めて示すなど、同盟国との関係や国際的な安全保障を深く展望しているようには見えない。イラン核合意離脱や世界保健機関(WHO)からの脱退表明など、国際社会における責任から距離を置くスタンスも変わっていない。

 強硬ともいえる主張を繰り返すのは、新型コロナウイルス感染への対応に批判が集まっていることに加え、支持率でバイデン氏に後れを取っている状況への焦りがあるためだろう。

 党大会では、中国に関して「コロナウイルスを世界に拡散させた責任を取らせる」と訴え、バイデン氏を「過激な左派に操られている」と攻撃した。

 米経済が好調だったことを背景に、トランプ氏の主張に期待感を示す支持者は少なくない。

 だが、コロナ禍収束が見通せない中、掲げた公約がどれだけの説得力をもって国民に響くかは不透明だ。

 トランプ氏の現状認識は、格差是正や国際協調などを掲げるバイデン氏とは開きがある。両者の距離感は、国内世論の亀裂の深さを示しているようにみえる。修復するのは容易ではなさそうだ。