苦手だった夏を少しでも好きになるために、まず僕がはじめたのは夏の映画をたくさん見ることだった。大好きな『アメリカン・スリープオーバー』のような夏の終わりの寂しさが詰まっているような映画じゃなくて、日差しの暑さやその熱を少しだけ冷ますたまに吹く風が画面の向こうから流れてくるような映画を。

 『マイ・フレンド・フォーエバー』『マイ・ガール』『フロリダ・プロジェクト』『キングス・オブ・サマー』『君の名前で僕を呼んで』。DVDで持っていないものやNetflixにないものはビデオショップでレンタルした。ジブリ作品もいくつか見た。

 その中でも、特にずっと見たいと思っていた『スケート・キッチン』という映画がとても良かった。実在する女性のスケートクルーを題材にし、実際のクルーを立ち上げたレイチェル・ヴィンベルグが主演したこの映画の何もかもに影響を受けた僕はすぐにスケートボードをはじめた。

 ギターをはじめたときのようなこの熱は日差しや夜の芝生の匂いによくあう。そういえばギターをはじめたのも夏休みだった。街に大きな図書館ができて小説を読むようになったのも夏休みのことだった。何かのはじまりには、もしかしたら春よりも夏のほうが似合っているのかもしれない。