3月にオープンした「みんなの終活窓口」では終活関連セミナーの動画配信に力を入れる(京都市中京区烏丸通錦上ル)

3月にオープンした「みんなの終活窓口」では終活関連セミナーの動画配信に力を入れる(京都市中京区烏丸通錦上ル)

     新型コロナウイルスに揺れた今夏、多くの人が帰省や墓参りを自粛し、古里で故人をしのぶお盆の風景は様変わりした。人々の行動や心理が変わっていく中、葬儀や供養も進化しようとしている。コロナ禍で生まれた新たな弔いのスタイルは、定着するだろうか。

 8月の週末、京都市中京区の「みんなの終活窓口」で、墓じまいを考えるオンラインセミナーが開かれた。別室からリモート(遠隔)出演した講師の男性が、墓じまいや墓を移す「改葬」を解説し、高齢の参加者が聞き入った。

 窓口は自身の最期に向けて準備する「終活」の総合相談所として、3月に烏丸通沿いにオープン。司法書士法人のF&Partners(エフアンドパートナーズ、中京区)が企画した1号店だったが、コロナ禍で集客が難しくなり、代替手段で「みんしゅうTV」と名付けたセミナーのネット配信を始めた。同法人の山西康孝代表は「コロナによって終活を始める人が増えた」と分析。従来から簡素化が進む葬儀や法事も、「一足飛びで変化が起きる可能性がある」とみる。

 非対面化を急ぐのが、葬儀業界だ。結婚式と違って通夜・告別式は延期が難しく、判断に悩む家族らが相次いだ。

 その中で葬祭大手の公益社(大阪市)が7月に始めたのが、スマートフォンなどで撮影して配信する葬儀のリモート参列サービス。海外に住む息子が父親の葬儀に出られなかったことがきっかけだった。遠方の在住者や体調が悪い人も弔問できるため好評という。

 葬儀施設運営の花駒(京都府精華町)も、ビデオ会議システムを使った告別式を今月初めて実施。入院中の高齢の女性が画面越しに参列し、長年連れ添った夫を見送った。「コロナ収束後も、故人を送る新たな方法になる」。上野雄一郎社長はそう感じている。

 式や法要のリモート化に加え、香典も電子決済できる「スマート葬儀」を提案するのは、葬儀関連ベンチャーのライフエンディングテクノロジーズ(東京)。訃報はメールやSNSで届き、記帳もオンラインという徹底ぶりだ。車に乗ったままで記帳や焼香ができる「ドライブスルー葬儀」の対応施設も、全国で徐々に広がりつつある。