「欧州最後の独裁者」と呼ばれ、悪名高いベラルーシのルカシェンコ大統領に7年前、「平和賞」が贈られた。といっても、ユーモアや皮肉で知られる、あの「イグ・ノーベル賞」の平和賞だが▼公共の場での拍手を違法にしたという変てこな理由だ。経済危機などで大統領批判を強めた多くの市民が、デモのスローガン連呼は規制されるので、拍手だけで抗議の意思を表していた▼それで法をつくり、拍手した約350人を拘束した。イグ・ノーベル平和賞の真意は、独裁の中に滑稽や愚かさを見て痛烈に笑うことにあったのだろう▼とはいえ、権力は26年も続いている。先の大統領選で6選を果たしたが、得票率が8割という結果はどうも怪しい。抗議する10万人もの市民が街を埋めたが、大統領は防弾チョッキ姿で自動小銃を手にしてみせた。こうした振る舞いも、何やら滑稽だ▼反政権派の調整協議会の幹部が当局から出頭を要請されたが、その中にはノーベル文学賞作家のアレクシエービッチさんがいる。協議会は公正な再選挙による政権移行を求めているが、イグ・ノーベル賞の独裁者に話は通じるだろうか▼通じるようにロシアや米国は介入ではなく、国内対話の環境づくりに連携してほしい。ベラルーシの人たちを応援する大きな拍手を送りたい。