政府が新型コロナウイルス対策で設けているプロスポーツやイベントの参加人数制限について、5千人とする上限を9月末まで延長することを決めた。

 西村康稔経済再生担当相は、新規感染者数が減っているとは断言できないことや、医療機関の負荷が高い状況が続いている点を理由に挙げた。多くの人が集まる会場は「3密」状態が生じやすく、制限もやむを得ない面はあろう。

 ただ、イベントにはさまざまな形態がある。参加人数だけを基準に、一律に延長するのは実態になじまない。スポーツ界や音楽業界などにさらに深刻な影響を及ぼしかねない。

 政府は5月の緊急事態宣言の解除以降、段階的に経済活動の再開を進めてきた。イベントについても、6月19日に千人の人数制限を設けた上で開催可能とし、プロスポーツの無観客開催ができるようになった。7月10日には上限を5千人に緩和している。

 新型コロナ対策を厚生労働省に助言する専門家組織は24日の会合で、「第2波」とも言われる6月からの流行に関し、新規感染者数は全国的にやや減少に転じたと分析した。だが、高齢者の致死率、重症化率はともに高く、再拡大に向けて警戒が必要としている。

 政府は人数緩和を時期尚早と判断したが、その一方で観光支援事業「Go To トラベル」は進めている。専門家の評価を「いいとこ取り」している印象は拭えず、政府の対応はちぐはぐだと言わざるを得ない。

 専門家組織は、東京や大阪、福岡などの都市部を「減速傾向」、北海道や沖縄は「持続」と評価するなど、流行に地域差があると指摘している。こうした地域状況もイベントの可否を判断する一つの材料にできるのではないか。

 屋内か屋外かでも「3密」の発生条件は異なる。科学的な根拠に基づく感染防止対策が確実にとられるケースなどでは柔軟に対応すべきだ。

 引き続き制限を求められる業界は厳しい環境下にある。

 民間機関の試算では、今年の音楽コンサートや演劇など舞台イベントの市場規模は昨年の3割にも満たない水準に落ち込むとみられるという。

 政府は感染者数の減少傾向が確認できれば、制限緩和を9月末から前倒しする可能性もあると説明するが、先が見通せない状況に関係者の不安は募っている。事業継続の支援策を急ぎ拡充すべきだ。