長い筆を使い、独特のスタイルで描くベリーさん。自分の心を解放しキャンバスに向かう(亀岡市追分町のアトリエ)

長い筆を使い、独特のスタイルで描くベリーさん。自分の心を解放しキャンバスに向かう(亀岡市追分町のアトリエ)

 グレーやネイビー、クレイ色など暗い色調の中に、輪郭だけの人物が買い物袋を提げていたり、ブランコに乗っていたり、田んぼ道を歩いていたり…。日常を描いているような、宗教画にも似ているようで、どう解釈していいか、絵の世界に思いを巡らせる。

 日本画家ベリー・マキコさん(43)=京都府亀岡市篠町=は、亀岡市宮前町生まれ。亀岡高美術コースから、芸術系の大学に進学し、日本画を学んだ。卒業後に渡米し、ニューヨークのメトロポリタン美術館で東洋美術を修復する仕事をした。国際結婚も経験して2008年に帰郷した。

 学生時代から描き続ける絵の手法は独特だ。構想を全く持たずに、キャンバスに向かって筆を進めていくという。「できるだけ自分を解放して、内側から出てくる何かを待つ。どんな絵に仕上がるが、最後まで自分でも分からない」

 だから、作品はいつも自分の心象風景だ。「絵から、今の自分を知ることが多い」と言う。幼少期に豊かな自然の中で遊び回った経験や、米国で東洋美術、キリスト教に触れたことなど、経験すべてが無意識のうちに絵に現れてくるという。

 作品制作とともに絵画教室も開いている。子どもを対象にした教室では、できるだけ個性を尊重し、型にはめない。「うまさやきれいさを追求しなくていい。表現することを恐れないでほしい」という思いからだ。

 アートは生活に必要不可欠ではないが、人生を豊かにしてくれる。「表現することが人生のよりどころになる人もいる。そんな人の伴走者になりたい」