亀岡市役所

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 京都府亀岡市が自治会加入世帯に限って、市内の飲食店や小売店で利用できる5千円分の「かめおか商業応援クーポン券」の配布を計画している。新型コロナウイルスの影響で落ち込む店舗を支援するのに加え、配布対象を絞ることで地域活動の拠点となる自治会への加入促進も目指す。ただ、自治会への加入は市民の任意であり、加入を条件に配布対象を線引きする手法には疑問も残る。

 市はクーポン券関連経費として1億2400万円を一般会計補正予算案に計上した。市の世帯数は約3万9千世帯だが、今回の予算案で見込むのは2万4800世帯分。原資は全額、国の新型コロナウイルス感染症対応地方創生臨時交付金。クーポン券が利用できるのは大型店やチェーン店を除く市内店舗となる。

 31日からの市議会で議案が可決されれば、11月ごろにも自治会を通じてクーポン券を配布する予定。桂川孝裕市長は「自治会に入っていない人には届かない。(自治会未加入の)皆さんには自治会に入ってもらうことが必要」と説明する。

 市によると、市内には23自治会があり、住民基本台帳ベースでの加入率は49~84%と幅がある。市は災害時の情報伝達をはじめ、広報配布など自治会を通じ取り組む施策も多いため加入率の向上を目指すが、横ばいが続いている。このため「市民も情報伝達を受ける体制をつくってもらいたい」(桂川市長)と、5千円のクーポン券を加入の呼び水にする狙いだ。

 市は新型コロナ対策としてすでに4月と7月、千円分のクーポン券を市シルバー人材センターに委託し約3万6千世帯に配った。今回は高額のため自治会から各戸に直接届けてもらいたい、との思惑もある。

 一方、住民の中には自治会の役に就くことや自治会費支払いを敬遠し、未加入のケースもある。期間労働者や学生など短期間しか市内に住まないとして加入しない人もいる。

 未加入者に配布しない分、クーポン券の利用総数は減り、その分、地域でお金は回らなくなる。市商工観光課は「自治会への加入は強制できない」とする一方、「調整中だが、自治会にクーポン券を取りに来てもらうなど、未加入者の救済策も検討したい」としている。

■「目的達成へ適切か疑問」

 立命館大の柳至准教授(地方自治論)の話 今回は新型コロナウイルスで落ち込んだ地域経済への支援が第一義的な政策目的。「加入促進」を絡めることが、目的達成のため適切なのかは疑問だ。

 一方、自治会活動を持続可能なものとするための政策は必要で、加入促進策は別にやるほうが良い。自治会活動の負担を減らし、メリットを多く感じられる施策が必要で、「5千円」ではなく、根本的な策が求められる。

 全国的に自治会の担い手が減り、役員の高齢化も進む中、クーポン券の配布を任せるのは負担にならないのだろうか。