カジノを含む統合型リゾート施設(IR)事業を巡る汚職事件が、司法をおとしめる裏工作の疑惑に発展している。

 収賄罪で起訴された衆院議員の秋元司被告に賄賂を渡したとして、贈賄罪などに問われた中国企業の元顧問2被告らの初公判が開かれた。

 秋元議員に対し、元顧問が賄賂計760万円相当を贈ったほか、北海道旅行費76万円相当も地元観光会社の前会長が負担したとし、いずれも起訴内容を認めた。

 それだけではない。元顧問は秋元議員の関係者から裁判で虚偽証言をするよう重ねて働き掛けがあったことを生々しく証言した。

 秋元議員は贈収賄事件への関与を全面的に否定している。だが先週、保釈中に元顧問に対し偽証を持ち掛けたとして、組織犯罪処罰法違反容疑(証人等買収)で通算3度目の逮捕をされた。

 元顧問の証言が事実であれば、現職の国会議員が金品の授受によって、刑事裁判の公正さまでねじ曲げようとしたことになる。前代未聞の由々しき問題であり、国会議員としての資質が問われる。

 元顧問が偽証を持ち掛けられたのは、起訴内容の賄賂授受4回のうち議員会館での300万円提供についてという。秋元議員は元顧問と会ったこと自体を否定しており、密室での面会が無かったことに証言が覆れば、無罪につながると考えたと検察側はみている。

 元顧問は、偽証を断ってもなお追加報酬を含め計3千万円の提供を申し込まれたとされる。贈賄側さえ「うそか冗談か」と疑ったという信じがたい行為である。徹底した真相究明が欠かせない。

 一連の事件は、IR担当の内閣府副大臣だった秋元議員らに狙いを定め、中国企業が参入に便宜を図ってもらう政界工作だったという疑惑が持たれている。

 安倍晋三政権は、IRを成長戦略の目玉に掲げ、カジノ解禁への反対世論を押し切る形で進めてきた。その推進役と業者の癒着によって、施策自体がゆがめられたとの疑念は拭えないまままだ。

 政府は最大3カ所のIR整備地選びに向け、今年1月に選定方針を示す予定だったが、新型コロナウイルス禍で先送りされている。業績悪化から参入計画を見直す企業もあり、大阪府・市や横浜市などの誘致準備も遅れる見通しだ。

 法廷でIR利権の闇を解明すると同時に、このような疑惑を持たれる副大臣を起用した政権の任命責任も問われねばならない。