常連客と会話する小畑さん(右)=宮津市新浜

常連客と会話する小畑さん(右)=宮津市新浜

酔客たちの〆として人気のおにぎり=宮津市新浜

酔客たちの〆として人気のおにぎり=宮津市新浜

 「宮津の夜の終着点」「古き良き人情と昭和の風情を感じられる場所」。訪れる常連の酔客たちは、この小さな居酒屋をそう評する。長年変わらない店の雰囲気と優しい味が、「〆(しめ)」を求める宮津ののんべえたちの心を満たしてきた。


 居酒屋やスナックが軒を連ねる、京都府宮津市新浜の路地裏。北前船の寄港地として栄えた江戸時代には、京都の祇園に匹敵する規模の花街だったという。現在も当時の風情を感じさせる古い町並みが残る。


 55年前、現在の店主小畑順子さん(75)の父が、食料品店を営む傍ら、古い町家で小料理屋として営業を開始。家族で店を経営していたが、ともに同店で働いていた兄が亡くなった15年前から、小畑さんが一人で店を切り盛りする。おにぎりや鶏もも肉を甘辛く調理した山賊焼きなど、シンプルでどこか懐かしいような家庭料理が人気だ。


 午前0時までには店を閉める飲食店が市内には多い中、午後10時に店を開け、午前2時まで営業を続ける。店には、営業後の飲食店の従業員やホステスなどが昔から多く集まる。「疲れた様子の同業者が、料理を食べて『おなかも心も満たされた』と言ってくれるのがうれしい」と目を細める。カウンター10席と座敷しかない店内には、絶えること無く地元の客が訪れる。


 「この年まで店を続けてこれたことが不思議」と、小畑さんは感慨深そうに振り返る。「お客さんが『やめないで』と励まし続けてくれたから、今があるのかな」

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 ちさと 宮津市新浜1987。午後10時~午前2時。不定休。0772(22)2208。