芸術の世界で混同しやすい名前というと、多くの人が思い出すのは画家のマネとモネだろう。マネがモネに「まねしないで」と言ったとか言わなかったとか▼マネの方が少し先輩だが、パリで同時期に活躍し、実際にトラブルもあったと伝わる。まだ無名だったモネが展覧会に出した絵がマネの作品と間違えられ、マネが称賛されてしまい…▼2人とも本名だから似ていても仕方ない。だが、こちらは裁判となり、略称も絡んでさらに話はややこしい。京都市立芸術大と、京都造形芸術大から改名した京都芸術大である▼先日の判決で、大阪地裁は「京都芸術大」の使用を認めた。だが法律上はともかく、単純に紛らわしいかどうかという点では、地元としては考えるまでもないような気もする▼改名は開学30周年を前に造形だけでなく幅広い芸術の教育、研究をアピールするためという。それでも実際に紛らわしければ、まねをしたようにも思われかねない。大事なのは中身であり、互いに切磋琢磨(せっさたくま)して京都の芸術を盛り上げるよう願うばかりだ▼マネは最初はモネをよく思わなかったそうだが、やがて実力を認め、亡くなるまで交流を続けたといわれる。今回の問題もいつか円満に解決し、笑い話のようになる日は来ないだろうか。芸術の秋を前にそう思った。