親子で26年間調査してきたセミの記録や写真を見せる井上さん。「これまでの調査結果を精査して、いつかまとめたい」と意気込む(京都市北区)

親子で26年間調査してきたセミの記録や写真を見せる井上さん。「これまでの調査結果を精査して、いつかまとめたい」と意気込む(京都市北区)

上賀茂神社の境内でセミの抜け殻を探す井上さん。対象の木々や期間のほか、抜け殻を落とす棒の長さなど手法も当初から変えていないという(京都市北区・上賀茂神社)

上賀茂神社の境内でセミの抜け殻を探す井上さん。対象の木々や期間のほか、抜け殻を落とす棒の長さなど手法も当初から変えていないという(京都市北区・上賀茂神社)

セミの抜け殻を見せる小学生当時の光さん=井上さん提供

セミの抜け殻を見せる小学生当時の光さん=井上さん提供

 親子2代でセミを調査して26年―。京都市北区の男性が、近くの上賀茂神社でセミの抜け殻を調べ、数や種類を記録している。小学生だった長男の自由研究を手伝ったのがきっかけで、大学進学後は1人で継続。アブラゼミが激減する一方、クマゼミは増加傾向といい、「温暖化の影響があるかもしれない。セミの調査はライフワークなので、体が動く限り続けたい」と話す。

 京表具店「井上光薫堂」の代表、井上利彦さん(60)。長男の光さん(32)=長岡京市=は小学1年から高校3年まで、夏休み期間(7月20日~8月31日)は毎朝、自宅に隣接する同神社へ。「ならの小川」付近の20~30本の木々に付くなどしたセミの抜け殻を集め、雌雄や種類で分類した。

 調査から、雌の羽化数がシーズン途中で雄を上回るとし、春からの積算温度を基にその逆転日を予測するなど研究に没頭。抜け殻の収集に2~3時間掛かることもあり、井上さんも作業を手伝ったり助言したりした。

 光さんが大学進学後は、井上さんが同じ場所や手法で調査を続けた。「12年間頑張っていたし、やめるのはもったいなかった。子どもだけでなく、親も楽しい時間だったから」。2010年からはブログに日々の記録を載せている。

 羽化最多日を中心とした計21日間の抜け殻数は、今年は232匹(アブラゼミ213匹、クマゼミ19匹)と過去最少を記録。3千匹を超えた01年の1割未満になった。一方、クマゼミに限ると09~19年の年間平均数は約35匹と、それ以前の10年平均に比べて約1・4倍に増加。他の種類のセミは少なくなっているという。

 伊丹市立昆虫館(兵庫県伊丹市)は「地下が乾燥傾向にある場所ではクマゼミが多くなっているとも言われており、温暖化との関係性の指摘もある。そもそもセミは地中にいる期間が長いために研究が難しく、これほど長期間のデータは大変貴重だ」と指摘する。

 セミ調査について、会社員になった光さんは「本当に楽しい思い出。(利彦さんは)暑いのによう続けるなあ」と感心し、今でも親子でセミの話題で盛り上がるという。

 8月31日で今夏の調査も終わりを迎え、「やっぱり寂しさを感じる」と井上さん。「これまでの調査内容を精査し、いつかまとめられたら。孫ができたら、一緒に抜け殻を取りにいけたらいいですね」