安土城跡の大手道。滋賀県は城の復元に向けた取り組みを本格化させる(近江八幡市安土町下豊浦)

安土城跡の大手道。滋賀県は城の復元に向けた取り組みを本格化させる(近江八幡市安土町下豊浦)

 滋賀県は新年度から、安土城(近江八幡市)の復元に向けた取り組みを本格化させる。2026年の築城450年祭に照準を合わせ、映像技術の活用を含めた「目に見える形での復元」を目指す。新年度は県民の機運を高める講座を開くほか、全容の分かっていない城の実像に迫るための調査手法を検討する。

 安土城を巡っては、県内の経済団体やNPO法人の間で再建熱が高まっており、年初に三日月大造知事が復元を目指す方針を表明した。その後「想定以上の反応がある」(三日月知事)として、急きょ新年度当初予算案に計900万円を確保。復元の方向性を探ることにした。

 ただ最大のネックは、城の設計図や外観が分かる絵図が見つかっていないことだ。城跡は国指定特別史跡のため、文化庁の許可を得るには当時の姿を正確に再現する必要がある。これまでにも、築城した織田信長が天正遣欧使節を通じてローマ法王に献上したとされる屏風(びょうぶ)絵「安土城之図」を探すため、調査団をバチカンへ派遣するなどしてきたが、発見には至っていない。

 そのため、県は19年度に調査に携わった人への聞き取りなどを行い、復元に向けた課題や調査方法を検討する。また、小説家らによる講演会や過去の発掘成果を紹介する映像制作を通じて、県民の関心や理解を広げる方針だ。

 調査団の再派遣も視野に入れ、20年度には関連資料の調査や専門家の意見集約を行う予定。城跡での再建築の可否に加え、VR(仮想現実)技術や映像投影などの手法も検討し、21年度に具体的な復元方法や実施主体を決める。民間にも参加を呼び掛ける。

 三日月知事は「いたずらに天主を建てるのではなく、城を大切に思う方々とよく議論をしていきたい。第1段階は知恵を集めるために、夢を膨らませる取り組みを目指したい」としている。