「京都芸術大」という大学名の使用が、司法によって認められてしまった。

 京都造形芸術大から、今年4月に名称変更した京都芸術大(京都市左京区)を運営する学校法人に対し、不正競争防止法の禁じる類似の表示をしたとして、京都市立芸術大(西京区)が新名称の使用差し止めを求めた訴訟の判決で、大阪地裁が訴えを棄却した。

 京都だけでなく多くの人にとって、「京都」の「芸大」とは、京都市立芸術大を指すといわれる。判決に、釈然としない思いが残ったはずだ。

 両大学名の混同と、それに伴う混乱が起きはしないか、大変、心配である。

 造形芸大は、来年の開学30周年を前に、名称を京都芸術大に変更することとし、文部科学省に申請して受理されている。

 市立芸大はこれに反発し、使用差し止めを求めた。

 略称として「京都芸術大学」や「京芸」を用いており、大学名が同じか酷似することになる、と懸念したからだ。

 これについて判決は、市立芸大の知名度が活動範囲の京都府内や近隣府県以外では低く、略称が市立芸大を想起させる具体的な証拠はないと反論した。

 「京都市立芸術大学」と「京都芸術大学」の類似性に関しても、「市立」の文言があるので、受験生や芸術に関心のある人が誤認する恐れはない、とした。

 訴えの内容を、全面的に否定したといってよかろう。

 残念なのは、市立芸大が1880(明治13)年に開設された京都府画学校を源流とする長い歴史を持ち、「芸大」として市民らに親しまれてきたことへの言及が、見当たらない点である。

 受験生ら関係者以外の困惑に配慮する必要がないとするのなら、あまりにも、しゃくし定規な判断といわざるを得ない。

 学校の名称を巡るトラブルが、繰り返されている。

 広島県呉市に開校した「呉青山学院中学校」に関する訴訟では、東京地裁が青山学院大の訴えを認め、名称の使用差し止めを命じた。

 大阪府立大と大阪市立大を統合して設置される新大学「大阪公立大」の英語表記「University of Osaka」については、大阪大が特許庁に商標登録しないよう求めている。

 先に開設され、伝統と実績のある学校の名称は、それなりに尊重されるべきだ。