全国で失業者の増加に歯止めがかからない。新型コロナウイルス感染拡大に関連する解雇や雇い止めが、8月末時点で見込みも含めて5万人を突破した。

 厚生労働省が2月から集計し、政府の緊急事態宣言の解除後も1カ月に1万人前後のペースで増えている。労働局などの把握は限られ、実際はもっと多いに違いない。

 政府は、コロナ対策の柱に雇用の維持を掲げ、大幅拡充した雇用助成制度の特例期限を年末まで延長すると打ち出したが、いまだ感染収束の兆しは見えない。

 さらなる影響の長期化を見据えつつ、雇用を下支えする効果的で持続可能な対応が求められる。

 コロナ関連の解雇・雇い止めは当初、外出自粛や休業要請の打撃を受けた宿泊業や飲食業が中心だったが、最近は製造業や小売業にも広がっている。

 影響が大きいのが、パートや派遣社員ら非正規労働者だ。7月の完全失業率(季節調整値)は2・9%と前月比微増だが、非正規の従業員数をみると昨年7月に比べて131万人減っている。「雇用の調整弁」とされている状況が改めて浮き彫りになっている。

 失業防止策として政府が継続するのが、従業員を解雇せず、休業手当を支払った企業に支給する雇用調整助成金の特例だ。助成の日額上限約8300円を1万5千円に引き上げ、助成率も中小企業は3分の2から最大10割とした。

 過去にない思い切った企業負担軽減策で、特例に伴う支給決定は8月中旬までに9900億円を超えた。失業者の爆発的な増加を抑える役割は果たしたともいえる。

 ただ、特例期限は当初の6月末から2度延長され、確保した財源約1兆6千億円で賄えるかは見通せない。以前から先進国最悪の借金財政の下、巨額の公費をつぎこんで国内雇用を支え続けるのに限界があるのは明らかだろう。

 施策の効果と問題点を洗い出す必要がある。労働現場からは、立場の弱い従業員が十分な支援を得られていないとの声が出ている。

 助成利用の煩雑さを嫌ったり、経営悪化で休業手当を支払わなかったりする企業が少なくない。その場合、中小企業の従業員には賃金の8割相当を直接給付する新制度も設けられたが、企業の責任放棄や労働者間の不均衡を招いているとの指摘もある。

 国は企業活動の回復支援と雇用責任への監督に当たると同時に、失業者の暮らしと円滑な再就職の援助に力を尽くすべきだ。