きのうは「防災の日」。今年は新型コロナウイルス感染を避けるために、各地で訓練の中止や縮小が見られたが、災害への備えの重要性は年々高まっている。

 台風9号が九州に接近している。台風シーズンとなり、記録的大雨による浸水や土砂崩れなどに見舞われる事態を、まず「わがごと」と気構える必要があろう。

 今年の7月豪雨を含め、想定外の暴風雨に自治体は十分に対応できないでいる。特に避難では住民の判断と行動が鍵を握っている。

 住民の自主防災組織は、世帯カバー率で全国平均8割を超す。しかしメンバーは高齢化、新たな加入が進まず、活動も形だけになっているところも見受けられる。

 地域防災を担う住民活動のあり方を見直し、現実の課題に向けた新たな取り組みが求められよう。

 災害対策基本法の改正で2014年にスタートした「地区防災計画」作りが、新たな活動のきっかけになるのではないか。

 地区防災計画の範囲は、自治会や町内会に限らず、学区やマンション、商店街などを含み、住民が計画作成の主体になる。行政などから求められる防災活動ではないところがミソだ。

 地域を最も知る住民が、地域の自然環境や住民の年齢構成、想定される災害などに応じて計画を練り、役割分担などを決める。地域防災計画学会の室崎益輝会長(兵庫県立大大学院教授)は「コミュニティーでしかできない活動であることが重要」としている。

 たとえば、避難所での1週間分の献立を書いた紙1枚でも一つの地区防災計画だと室崎氏は言う。気づきから計画をつくり、点検・修正して実効性のある計画に進化させていくことが期待される。

 災害犠牲者の多くが高齢者だ。近隣の顔が見える関係を生かし、避難支援の手順を計画しておくようにしたい。住民提案で自治体の地域防災計画に盛り込むことができるので、地域防災力の底上げにもつながろう。

 地区防災計画は京丹後市の奥大野区などで作られているが、もっと多くのコミュニティーに広がっていいはずだ。住民の自発性を引き出す工夫が必要ではないか。

 7月に熊本県で多くの人が亡くなった豪雨の後、山形県では最上川が氾濫したが犠牲者は出なかった。熊本の教訓から住民らが早く避難していたからだ。

 教訓や成功例を発信して、住民を触発することも大切だろう。災害リスクはもはや身近な問題だ。