8月のはじめごろ、京都市中京区の三条会商店街にある小さな食堂「つるぎ食堂」が閉店してしまった。

 僕たちHomecomingsが出演した京都新聞のCM撮影でもお邪魔し、この連載でも紹介したことがある。とても大好きなお店だったので寂しいと思う半面、自分のおじいちゃん、おばあちゃんよりも年上であろうご夫婦の様子をいつも心配に思っていたこともあって、とにかくお疲れさまでした、という気持ちのほうが大きい。

 どれだけの長い間、あの場所であの二人が出す料理が愛されてきたのだろう。街の食堂はこうやってこれからひとつ、またひとつとなくなっていってしまうのだろうか。

 音楽や小説はずっと残り続けるけれど、味やお店の雰囲気はどうやっても残すことができない。だから僕たちにできるのは、せめてそういう場所があった、ということを忘れないようにするだけだ。こうやって書いておくこと、映像のなかに閉じ込めていくこと。

 街はどんどん変わっていく。でもそれは悲しいことじゃない。街も僕たちと同じように生きている。生きていくことは変わっていくことじゃないかと思う。大好きな場所がなくなってしまうのは寂しくはあるけれど、そんな街の変化を僕は見守っていたいのだ。