当てにしていた最終電車が、なくなるかもしれない。

 JR西日本が、近畿エリアの在来線の主要区間において、深夜のダイヤを見直し、最終列車の発車時刻を10~30分程度、繰り上げると発表した。

 来年春のダイヤ改正で、午前0時以降を中心に約50本の列車の運行を取りやめる。

 この時間帯の利用者は、注意しておく必要があろう。

 見直しは、線路のメンテナンスを担う作業員の労働環境改善を狙っている。

 近畿エリアでは、社員や建設会社従業員約1500人が作業しているが、10年前と比べて約2割も少ない。

 終電時間を繰り上げれば、始発までの作業時間が延びる。効率がよくなり、休みも増えて、作業員の確保につながる。

 安全で安定的な列車運行を続けるための「働き方改革」なら、認めざるを得ないだろう。

 繰り上げの背景には、深夜の需要減もある。

 昨年、京都、大阪、三ノ宮の3主要駅を午前0時以降に利用した人は、2013年と比べて15%も減っていた。

 逆に、午後5時、6時台は1割以上も増えた。帰宅時間を早くするライフスタイルの変化を、考えておきたい。

 ただ、終電の繰り上げには、主要駅周辺の飲食店経営者から、売り上げが減るのを懸念する声が上がっている。

 大阪や京都に通勤する人のベッドタウンとなっている自治体の中には、人口の減少や今後のまちづくりへの支障を心配するところもある。

 こうした影響は、最小限に抑えるべきだ。

 新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、鉄道の利用を控える動きが続いている。

 お盆の期間中ですら、新幹線や在来線特急の利用が激減し、近距離の利用者も少なくなった。JRにとどまらず、鉄道各社の収益が悪化している。

 鉄道事業において、さまざまな見直しが加速しそうだ。

 コロナ感染の長期化に備えるため、JR西日本は終電の繰り上げに加え、時間帯別運賃の導入も検討している。なるべく混雑を避けるための工夫で、今後、各社が同調する可能性がある。

 これらの動きが、利便性や社会の活力を著しく損ねることがないよう、配慮を求めたい。