地蔵堂から見つかった木札。長年の風雨で薄れてしまったが、60年前に修繕工事を行ったことが墨書されていた(京都市東山区)

地蔵堂から見つかった木札。長年の風雨で薄れてしまったが、60年前に修繕工事を行ったことが墨書されていた(京都市東山区)

建て替えられた西川原町北向地蔵堂(京都市東山区)

建て替えられた西川原町北向地蔵堂(京都市東山区)

 京都市東山区西川原町にある地域の地蔵堂で、今夏行われた建て替え工事の際に、1枚の木札が見つかった。薄れた墨書を解読したところ、1960年8月に大規模修繕が行われたことが記されていた。住民は「前年の伊勢湾台風で損壊したのでは」などと推測し、「お地蔵さんを守ってきた先人の意志をつないでいきたい」としている。

 「西川原町北向地蔵堂」は、ほこらの傷みが激しく、管理する地元の山田町町内会が、6月から建て替え工事を行った。木札(長さ29センチ、幅15センチ)はかつての覆い屋の壁面に打ち付けられ、墨書の痕跡があったが、風化で読み取れなかった。

 町内会は市歴史資料館(上京区)に協力を求め、赤外線写真を撮影。解読できない箇所もあったが、「破損」し「盂蘭(うら)盆の紀念として」「修繕」したとの文面と「昭和三十五年八月二十三日」の日付があることがわかった。

 前年(59年)9月の伊勢湾台風は全国で猛威を振るい、京都市内でも被害をもたらした。当時の京都新聞によると、同区の智積院にあった唐門が、暴風で倒壊している。60年前の改修について、詳しい経緯を知る人はいないが、町内会の野村栄司会長は「地蔵堂も被害を受け、建て替えたのではないか」と思いを巡らせる。

 新しい地蔵堂は8月中旬に完成し、22日に法要を行った。野村会長は「先人も災害などを乗り越えながら、お地蔵さんを守ってきたのだろう。新型コロナ禍の今だからこそ、今回の建て替えは意味があったと思う」と話す。

   【解読された木札の文面】
茲(ここ)ニ北向地蔵尊は□□□□□□□
□□□□□たるニ年数の為□破損□□
町内協議の上盂蘭盆の紀念として左年月に
修繕□致□□
   昭和三十五年八月二十三日
(□は判読不能)